近年、クレジットカードの審査も自動化されたシステムによる審査が主体となっています。よくあるのが、クレジットカード会社のキャンペーンサイトや公式サイトからのweb申込み。あっという間に審査結果が出てしまったという経験をした事のある方も多いと思います。
- 楽天カード
- Yahoo! JAPANカード
- アメリカン・エキスプレス
- オリコ
- 三井住友VISAカード
- 三菱UFJニコス
- クレディセゾン
- etc.
多くのクレジットカード会社が全自動、もしくは半自動化されたシステムで審査を行っています。理由のひとつには審査にかける時間を短縮し、短い時間でより多くの会員を獲得したいというクレジットカード会社の思惑があります。自動審査システムで審査時間の短縮を進めてきた結果、1分以内に審査結果が出てしまう事も珍しくなくなってきています。一昔前はそれこそ審査に一月程度かかることはザラでしたが技術の進歩と人間の「楽をしたいために努力する」根性には恐れ入ります。因みに、2018年現在では審査に一週間以上かかっていたらかなり遅めの部類、もしくは審査落ちを疑うぐらい長い方です。
超高速自動審査システムのチェックポイント
自動審査システムによる審査の流れは以下のとおりです。
(1) カード申込みサイトへ入力されたデータのインポート (取り込み)
申込みした人が、クレジットカード申込みサイトで入力したデータを審査システムへ取り込みます。この際に、きちんとデータを取りこぼさずに判別した上で審査を行うため、申込みサイトで「全角で住所を入力」させられたり、「電話番号だけ半角数字」で入力したりすることになります。全角英数字と半角カタカナが大好物の古いシステムをかましているとこういうことがあります。諦めてご了承下さい。
入会申込用紙で申し込んだ場合は?
入会申込用紙に同封されている封筒で、記入済み申込用紙を送った場合、クレジットカード会社の審査部署へ郵送され、その後の審査となります。
- 申込み書の開封
- 専用端末で申込み内容のデータ入力
- 入力内容を審査システムへインポート
こうしたステップを踏まなければならないため、web申込みと比較するとどうしても一週間近く余計に時間がかかってしまいます。
(2) チェックポイントの数値化
一般的に、申込み時に申告のあった以下の情報を数値化してスコアに使用します。
- 年齢
- 年収
- 職業
- 勤務先
- 勤続年数
- 雇用形態
- 居住形態
- 居住年数
- 家族構成
- 固定電話の有無
太字の項目は審査に与える影響大の項目です。スコアリングの詳細については別記事で解説します
関連記事 今回はクレジットカード入会審査の際に行われる自動審査システムによる、「スコアリング」の詳細について書いてみたいと思います ...
あなたの信用度を自動計算!「スコアリング」の実態
(3) 信用情報機関への情報照会
次に、クレジットカード会社が加盟している個人信用情報機関へ、申込者の情報照会を行います。必ず参照されるのがCIC、多くのクレジットカード会社がこれに加えてJICCの個人信用情報を照会しています (因みに全銀協へ加盟しているクレジットカード会社は現在アメックスのみ)。
いずれも、いわゆるクレヒスをチェックします。他社発行のクレジットカードを持っているか、持っているなら直近二年間の利用・返済状況に問題はないか、スマートフォン割賦購入を始めとする分割購入履歴があればそこでも問題なく支払っているか。
また、キャッシングやローンで他社への借入の有無確認、借入がある場合はその金額は申告された年収と比較して無理なく返済可能な状況か。
そして他社への支払い延滞や異動 (長期延滞) の有無を確認し、クレジットカードを発行したらきちんと使った分を返してくれる人なのかを判定します。
この段階でいわゆる、「多重申込み」のチェックも行われます。あまりに短期間に何枚もクレジットカードを申し込んでいると、『多重債務者がカード利用枠を現金化しようとしている』、『計画的破産でカードを使うだけ使おうとしている』、などと受け取られて審査に対して大きくマイナスになります。
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CIC情報を開示しよう!
また、年齢が一定以上 (三十代後半~) で、全くクレヒスがない、つまり信用情報機関への登録がされていない場合、『もしかしてこの人は過去に金融事故を起こしていて、他社カードを持っておらず借入もないのかな?スマホやPCの分割購入すらもお断りされているのかな?』などと勘ぐられてしまい、審査に落ちる場合があります。心配な方は一括購入できてもスマホを分割購入するなどして、履歴を作っておきましょう。「信用」の世界でモノを言うのは実績のみです。
(4) 自社の利用履歴・自社ブラックの確認
ほぼ並列で、既に自社の会員かどうか、もしくは過去に会員だったかどうかという事を自社システムで確認します。
現在も会員の場合は支払状況を見て延滞の有無を確認します。スコアリングで基準を満たしており利用履歴にも問題なく、信用情報を見て他社の借入額に問題もなければ即合格です。もし過去に自社カード会員だった場合、超短期の解約をしていたり、自社で長期の延滞 (異動) を起こしていないかといった情報を確認します。特に後者は最も警戒されます。この段階で、再入会させられない人、いわゆる「自社ブラック」であると判定されると問答無用で審査に落ちます。
過去に長期間の延滞や債務整理 (異動) による強制解約が起きている場合、ほぼ100%入会は不可能と判定されます。一部のクレジットカード会社では異動発生から10年や15年で再入会を許可する措置を取っているところもあるようですが…
(5) 社内審査完了
ここまでで自動審査システムによる審査は完了です。一次試験終了、といったところです。ここから先の対応はクレジットカード会社ごとに異なります。
- 職場への在籍確認が必須である
- 本人への電話確認が必須である
- 審査システムの審査結果を審査担当者が目視確認してからの最終合否判定を行う
こうしたプロセスを必須とするクレジットカード会社の場合、人力の作業が加わるため数時間~1, 2営業日程度の時間を更に要することになります。とは言えすべて人力審査していた時代に比べれば微々たる差と言える程度の短さですね。
楽天カード、アメックス、オリコ、Yahoo! JAPANカードなどは自動審査で問題が全くなければ申込み画面上で即審査通過のお知らせが出たり、即座に審査通過メールが飛んできたりします。JCB、三井住友VISAカードや三菱UFJニコスなどは担当者による人力確認を挟んでいるためか、自動審査の後に数時間から1営業日前後のタイムラグの後に審査通過のお知らせが来ます。
自動審査システムで判定しにくい場合は担当者の確認によって審査合否が決定される
自動審査システムは超高速処理可能なコンピュータでしかありません。そのため、スコアリングで点数を付けたり基準が明快な物事の判定は得意ですが、〇でも×でもなく△にも該当しない、といった場合の処理はあまり得意ではありません。そういった場合に人間の審査担当者が登場します。
- 年収や勤務先の情報は非常に良いが、過去に金融事故を起こしている様だ
- 他社への支払い状況には全く問題はないが、ここひと月でクレジットカードを10枚も申し込んでいる様だ
こういったシステムで判定し辛かったり、クレジットカード会社によっては手動審査フラグが立てられるような項目に該当する人の場合、自動審査が完了した後に審査担当者へ回されて手動審査の対象になります。
クレジットカード会社というのは細かい事まで記録しているもので、『この人は過去にウチの会員だった時にオペレータに毎回の様に暴言を吐いていた』などといった情報さえも記録されている場合があります。そういった方が手動審査の対象になると心証が悪くなる場合があります。また、自動審査の時点で「要注意人物フラグ」を社内記録でチェックしていたりする場合は、こうした人物は自動審査の段階で落とされたりもします。
おわりに
今回は、クレジットカード入会申込みの際に行われる、自動審査システムによる審査の流れについてのお話でした。
最後まで読んで下さりありがとうございます。