今回の記事では、クレジットカードの審査について、流れを簡単に紹介します。
本記事でカード申込み~発行の流れを理解していただき、今後の記事で審査通過率を上げるためのコツを紹介します。審査する側が何を見ているかをしっかり把握することで、クレジットカードの審査にも通りやすくなるはずです。
クレジットカードってそもそも何なの? という方は以下の記事を読んでみて下さい。
クレジットカードの仕組み(1)
クレジットカードとはどのようなモノなのか、どのような構造で成り立つのか、ということについて一度まとめておきたいと思います ...
クレジットカードの仕組み (2)
この記事では、例を挙げてクレジットカードを使用する消費者視点での利点、加盟店視点での利点について解説します。クレジットカ ...
クレジットカード審査の流れ
クレジットカードの発行までには、大まかに以下の5つのステップを踏む必要があります。ひとつひとつ解説していきます。
1. クレジットカード申込み
まず、あなたがクレジットカード会社の公式サイトや申込書などを使って、実際にクレジットカードを申し込むところから始まります。
近年は大半が各カード会社の公式サイトからのオンライン申込になっていると思います。
例) 三井住友VISAカード 公式サイト
例) 楽天カード 公式サイト
例) JALカード 公式サイト
申込書からのパターンとしては、以下の様なケースが代表的でしょうか。
- 西武百貨店のセゾンカウンター
- マルイのエポスカウンター
- 各空港のJALカード、ANAカード、アメリカン・エキスプレスのカウンタ
- 三菱東京UFJ銀行で配布されるMUFGカード申込書
- 三井住友銀行で配布される三井住友カード申込書
一般的に、公式サイトからのオンライン申込みの方が審査結果が出るのが圧倒的に早いです。申込書を使用した申込みの場合、申込書郵送~申込書内容をオペレータが審査システムへ入力、という手間が発生しますが、オンライン申込みの場合これらの手間が省かれるためです。
申込みをする側からしても、オンライン申込みの方が楽です。最近は申込み用にスマホに最適化したサイトを設けてくれているため、食事をしながらチョイチョイと申し込めたりします。
2. スコアリングであなたの信用を確認 (個人信用情報含む)
ここが審査の山場です。ここをクリアすれば事実上の可決、つまりカード発行に至ります。
「クレジットカード作って下さい」という申込みを受け付けたクレジットカード会社は、以下の3つの作業を行い、あなたの信用力を「採点」します。
クレジットカード会社は営利企業です。「立て替え」払いという形でお金をあなたに貸すので、あなたがしっかり借りたお金を返してくれそうな人であることを確認しないと、クレジットカードを発行するわけにはいかないのです。
A. 属性の判定
申込み情報に記載された、年齢、年収、業種、勤続年数、持ち家の有無、配偶者の有無、扶養家族の有無、金融資産額などを参照し、それぞれの項目を採点します。各社の審査基準で定められた基準点をクリアする必要があります。基準は各社異なります。
詳細は後日別記事に載せますが、概ね以下の傾向があります。
- 年齢 … いわゆるステータスカードの審査の際には低すぎるとはねられる場合アリ
- 年収 … 高い程スコアは高い
- 業種 … 公務員や医者・弁護士などの士業のスコアは高め。また、上場企業勤務の方のスコアも高め。知人から聞いた話では、外資IT系や外資金融系は年収は高めでも転職率が高いため、業種面でのスコアはあまり高くないとのこと。
- 勤続年数 … 長い程良い
- 持ち家の有無 … 持ち家 > 賃貸
- 配偶者の有無 … 有 > 無 (本人による返済が困難になった場合の保険として)
- 扶養家族の有無 … 無 > 有 (出費が少ない=返済資金に余裕あり、ということ)
- 金融資産額 … 多い程良い
近年、機械審査によりこのプロセスは迅速に行われる傾向にあります。人間が一つ一つ確認するよりもコンピュータにやらせた方が迅速で正確に作業が進むため、カード会社側にとっても省力化・効率化にもなり、会員獲得プロセスが素早く行えるメリットがあるためです。
B. 個人信用情報の判定
CICやJICCにて共有されている、「個人信用情報」を判定して、過去に金融事故がなかったか、他社での借入有無と借入額、他社への返済状況、いわゆるクレジットヒストリー(クレヒス)を確認します。
ざっくり言うと、他のクレジットカード会社、銀行で何枚クレジットカードを持っているか、キャッシング含めていくらの残債があるのか、直近6か月で何社に何度クレジットカード申し込みを行っているか、が「個人信用情報」に記載されています。
自社、他社での返済実績はプラスに働きます。長ければ長い程、大きなプラスになります。
こいつは○○社で40万のリボ残債、帝愛ファイナンスでは100万も借りてるな…という感じで全て丸分かりになります。
個人信用情報機関については以下の記事を参照してください。
関連記事 : 「ブラックリスト」とは?
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「カード作りたいけど俺ブラックリストに載ってるからなあ…」、なんて会話を聞いたことがある人もいるかも知れません。クレジッ ...
個信において返済の遅延があったりすると審査に大きなマイナスとして作用します。
いわゆるリボ天井(リボルビング払いの上限額に張り付き)だったり、キャッシングで既に年収と比較して大きな金額を借りていると、返済能力が低いと見なされてマイナスに作用します。
また、直近6か月間に大量のクレジットカードやローンの申込みを行っている、いわゆる「多重申込み」状態であると、お金に困った自転車操業のチャリンカーだと思われて審査にマイナスに働く場合もあります。
多重申込みについては以下の記事を参照してください。
関連記事 : クレカ多重申込みについて
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※ 最近は携帯電話端末の分割払いもCICにしっかり載せられます。携帯電話の料金払うの遅れちゃったよ、なんて軽く言っている方もいますが、自身のクレヒスに大きな傷をつけることになるので、携帯電話料金は必ず期日内に支払いましょう。
このプロセスも「機械審査」が増えてきた様です。
C. 自社データの確認
最近は緩めになってきている様ですが、過去に自社で金融事故を起こしたり、返済が滞ってクレジットカードを強制解約になった人が申し込んできた場合、スコアリングにおいて非常に不利に働きます。カード会社によって異なりますが、グループ内で事故者の情報を共有している場合があります。その場合は、A社で金融事故を起こした後にA'社のカードに申し込んでも門前払いを食らう可能性が非常に高いです。しかし一定期間経過で事故者の情報を抹消したり、グループ内での共有を行っていない場合もあります。
詳細は別記事で詳しく解説します。
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3. 申込み内容の確認
3-1. 書面内容の確認
申込み内容、つまり自身が記入した氏名、生年月日、住所などなどの内容と個人信用情報機関の情報や金融機関の登録情報の照合を行います。ここは記入漏れなどがない限りまずパスするはずです。
3-2. 電話による本人確認
最近は減ってきていますが、セゾンなど一部のクレジットカード会社は新規申込者に対しては電話による口頭での本人確認を行います。申込書に記載された自宅・携帯電話・勤務先などへの在籍確認、本人確認が行われます。
カード会社「○○さんいますかー?」
勤務先の人「いません(不在です)」
カード会社「あ、そうですか(在籍しとらんやんけ!)」
なんてことになると否決されます(実話)。勤務先への電話確認が予想されるカード会社への新規申し込みを行った際には、電話応対を行う人に「カード会社から電話来るから自分の内線か携帯に回してね」と伝えておくと良いでしょう。
- 会社員 : 会社(勤務先)への電話による在籍確認
- 個人事業主 : 自宅への在宅確認
- 年金受給者 : 同上
※ 信用情報に記載された他社での実績が良い場合(別のカード会社で長年返済実績あり、限度額も多い、など)は在籍確認をスキップする場合も多々あります。また、機械審査の段階で、在籍確認するまでもなく落とす人、と判定された場合にも電話確認はありません。無情なお断りメールが届くか、書面で遠回しなお断りのお手紙(不幸の手紙)が届くのみです。カード会社の方も暇ではないので…。
4. クレジットカード発行可否の決定
ここまでの情報を元に、クレジットカードの発行可否の判定が行われます。このプロセスもコンピュータにやらせるケースがかなり増えて来ています。
- 自社のクレジットカード自体の発行可否(カードのランクに拠らず会員として迎え入れるか)
- クレジット限度額の設定
- キャッシング限度額の設定
- 申し込まれたカードに設定可能な限度額がマッチするかの判定 (例えば最低クレジット枠が70万円のゴールドカードへの申込み顧客に対して、クレジット限度額を50万円しか付与できない場合に、平カードを発行するか否か、といった検討も行われます)
上記の審査が行われた後に、クレジットカードが会員へ郵送されます。
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5. クレジットカードの郵送
晴れてカードが手元に届きます。クレジットカード名義人、限度額などが記載された書類に両面テープで軽く糊付けされたクレジットカードが、簡易書留や本人限定受取り郵便(アメックスはこれですね)で届くことになります。
本人限定の場合、名義人本人による受取り必須となるため、勤め人の方だと土日以外受け取れない、なんてこともあります。面倒ですがセキュリティ上仕方のないところですね…。
おめでとう!と言いたいところですがまだ大事なことがいくつかあります。カードと同時に届く各種書類には必ず目を通しましょう。
6. 引き落とし口座の登録
申込み時に、利用代金引き落とし口座として一部銀行(主にメガバンクやネット銀行)を登録した場合、オンラインで金融機関登録情報の確認が先に終わっている事もあります。このケースが増えて来てはいますが、未だに一部のクレジットカード会社は書面による引き落とし口座の確認を求めるところもあります。クレジットカード申込み後に、引き落とし口座登録用の書面が届くので忘れずに記入・郵送しましょう。これを忘れてしまうと仮にカードが発行されても発行自体が撤回されてしまう事になります。
地方信用金庫などを引き落とし口座に登録した場合は、オンライン確認に対応していないことが多いので忘れずに!
メガバンクなどであればオンライン確認のみ
- 楽天カード
- 三井住友カード
- etc.
いかなる金融機関でも書面確認が必要
- クレディセゾン
- JALカード
- etc.
7. 各種サービスの利用登録
一部のクレジットカード会社のカードでは、暗証番号をカード受取り後に自分で登録する事が必要な場合があります。例えばアメックスは4ケタのPINをテレホンサービスで登録したり、といった風に。
Webでの利用明細確認や入会キャンペーンに伴うポイントバックの登録もだいたいは自身で行う必要があります。また、一部ゴールドカードやプラチナカードに付帯してくるプライオリティパスも自分で申請する必要があります。
この辺りの作業を終えれば無事にカード発行、利用にあたっての準備も万端になります。お疲れ様でした!!
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8. 審査に落ちた場合
万一審査に落ちてしまった場合、いくつか原因が考えられます。
- 属性上の問題 … 勤続一年未満などの場合は少し待ちましょう。ダイナース等年収によっては門前払いを食らうカード会社は避けて同等サービスを提供する別のカード会社を検討する、などやれることは沢山あるはずです。
- 信用情報の問題 … クレジットヒストリー(クレヒス)自体が真っ白な場合、半年ぐらい携帯電話の割賦販売でクレヒスを構築するだけで効果てきめんです。また、CICにAやPが付いている場合、押し出されるまで最長二年待つことが一番の解決策です。万一「異動」が付いている場合は消えるまでじっと待つ!
- 過去のブラック情報 … 過去に延滞や金融事故で迷惑をかけたカード会社からはなかなかクレジットカードを発行してもらえません。どうしてもそこのカードが必要なのか、別のカード会社でも良いならそちらを狙うこと。
- 申込み情報の不備 … 3か月~半年待って再度申込み。その際には三回見直してから提出しましょう!
9. おわりに
ここまで、大まかですがクレジットカードの申込みから、審査、発行までの流れを解説しました。
結局のところ、クレジットカード審査結果はクレヒスと属性を合わせた、いわゆる「信用力」で決まってしまいます。
この「信用力」を高めるためには、既に手元にあるカードでクレヒスを積み重ねたり、収入を増やしたり勤続年数を長くしたり、という地道な積み重ねが必要になります。
クレヒスの無い方は先ずは携帯電話の割賦できれいなクレヒスを作りましょう。また、学生や新社会人の場合は審査が甘めになるため、一枚目を作る際にはステータスカードでもない限りそう落とされることはないと思います。ただし20代後半以降はしっかりとクレヒスを見られますので、日々真面目に生きることが結局は最短ルートになるのです。