時折クレヒス修行としておススメされる、携帯電話端末の割賦購入 (スマホやガラケーなど機種代金を分割払いで購入) 。よく考えてみたら、ブラックでクレジットカードが作れない人でも、なかなかキャリアの携帯電話端末の割賦購入の審査に堕ちたという話は聞きませんよね。
実はドコモ、au、ソフトバンクの大手3メガキャリアは割賦購入の申し込みがあった場合、いずれもCICなどの信用情報を照会しています。
信用情報を見てブラックだと分かっても審査を通すのは、もしかして審査がものすごく甘いのでしょうか?それとも、実は参考程度の情報としてしか参照しておらず、内部的に別の審査基準があるのでしょうか。
今回はそんな、クレヒス修行の第一歩である携帯端末の割賦購入の審査の実態についてお話したいと思います。
携帯電話キャリアが信用情報機関へ情報照会・登録する理由
まず、そもそもなぜ携帯電話キャリアは、携帯端末割賦購入時の審査において、なぜ個人信用情報への登録や照会を行うようになったのでしょうか。
先鞭をつけたのはソフトバンク
歴史的には、はじめに個人信用情報の登録・照会をおこなうようになったのはソフトバンクでした。
遅くとも2009年10月ごろにはCIC照会を開始しています。
実は割賦購入制度を開始した当初、分割払いの代金を支払わない人が相当な数に上り、実に500億円もの回収不可能と思われる、いわゆる焦げ付いた債権を抱える羽目になってしまっています。
また、少し遅れてNTTドコモ、auも2010年7月にはCICへの登録・照会を開始しています。
これらの背景には、2010年12月施行の、「改正割賦販売法」があります。
「改正割賦販売法」によって「個別信用あっせん契約」(いわゆる分割払いによる物品購入の契約) を締結する場合、経産省指定の個人信用情報機関へ、消費者と携帯電話会社が締結した割賦販売に関する契約情報を登録するべし、という法律に基づくルールが出来ました。
- 氏名
- 住所
- 契約内容 (分割払いで物品を購入する、「紺別信用購入あっせん契約」であるということ)
- 返済状況
これらの情報がバッチリ登録されることになりました。これらの情報はクレジットカード申込み時にも、カード会社から閲覧可能な状況になっています。そのため、「この人分割払いの代金を3か月も延滞してるな、だったらウチのカード申込みの審査も落としておこう」、という判断材料にされてしまいます。
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携帯電話の料金を延滞するとクレジットカードを作れなくなる、という様に言われるようになった背景はここにあります。
なぜ携帯電話の審査は甘くなるのか?
携帯端末の割賦代金支払いは、携帯電話利用料金と紐づいています。料金の支払いがある程度滞れば、携帯電話回線も一時停止され、インターネット接続が不可能になります。昨今はインターネット固定回線を契約しないという方が増えているため、スマホの相対的な重要度が大きく上がり、電気・水道・ガスと同レベルのライフラインとなっています。そのため、多少の支払い遅延があろうが最終的に払ってくれる人が大多数です。
携帯電話キャリアとしては、払ってくれればそれでいいので、売上を重視する場合はどうしても審査が甘くなります。
支払い延滞で消費者の信用情報がボロボロになろうが、携帯電話キャリアからすれば知ったことではありません。ドライに聞こえるかもしれませんが、皆他人の心配をしている余裕がないのです。
期日ギリギリまで、または期日を過ぎても出来るだけ料金を払わないようにしないと損だ、と思っているような方も確かにいます。通常の口座引き落としやクレジットカード払いでなく、請求書や督促状が届いてやっと支払いに応じる方もそれなりに多数いるようです。
しかし信用情報と紐づく携帯端末割賦契約でそういうことを繰り返していると信用情報は知らぬ間に真っ黒になります。
将来、クルマを買いたい、マイホームを建てたい、子供の学費のためにローンを組みたい、そういったイベントでお金を貸してくれる金融機関が一つもなくなってしまいます。たかだか数千円~数万円程度の滞納で人生を悪い方向変えてしまうインパクトがあるので、絶対に期日通りに支払いましょう。
「クレヒス修行の第一歩」と言われるだけあり、きちんと支払えばクレヒスとして評価されるようになりますが、支払いを滞らせると途端にマイナスの評価を受けるようになります。
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キャリアが一番排除したいのは「飛ばし」
「飛ばし」という言葉をご存知でしょうか。携帯電話キャリアが一番やって欲しくないのが、この「飛ばし」です。
例えば、はじめからスマホ本体を売却する目的で割賦購入し、即時売却、その後契約者本人から回線解約の依頼があったり、契約者本人が外国人であった場合は帰国してしまったりして残債を払ってもらえない、というパターンです。
飛ばし目的での回線契約なのかを識別するため、個人信用情報を照会して現在返済中のスマホ割賦購入が他に複数件あるかどうかを、重要度の高い指標としてチェックしています。
携帯電話キャリア各社が加盟する指定信用情報機関
以下、各キャリアが携帯端末の割賦契約を行う際に照会・情報登録を行っている個人信用情報機関です。
照会と登録をしているので、後述の三大キャリアや、それ以外 (UQなど) でも個人信用情報を照会しているキャリアからの購入であれば、しっかりクレヒスが作れます。クレジットカード作成のためにクレヒスを作りたい方はこれをうまく活用しましょう。
NTTドコモ
ドコモは割賦契約の際に、CICとJICCを照会しています。照会するといっても、上で説明した通り、「飛ばし」の被害に遭わないために他社で割賦契約をいくつも結んでいないかもチェックしている様です。
もちろん割賦契約の審査は誰でも100%可決するわけではないので、携帯端末を新調する際には、信用情報がきれいであるに越したことはありません。
加盟信用情報機関
- CIC (シー・アイ・シー)
- JICC (日本信用情報機構)
提携信用情報機関
- 全国銀行個人信用情報センター (KSC)
KDDI (au)
お堅そうに見えてし尿情報機関を一つしか照会していないのがau (KDDI) です。直接の照会はCICのみです。他機関に登録されているクレヒスについては、CRINやFINEで拘留されている情報の参照で十分、ということなのでしょうか。
加盟信用情報機関
- CIC (シー・アイ・シー)
提携信用情報機関
- 全国銀行個人信用情報センター (KSC)
- JICC (日本信用情報機構)
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ソフトバンク
元々、改正割賦販売法の施行前に他社に先駆けて、割賦契約の際の個人信用情報照会を最初に始めたのがソフトバンクです。
そのせいか、auやドコモよりも割賦購入時の審査がやや厳しいと言われています。
かつて500億円もの焦げ付きを経験してしまうと厳しくならざるを得ないのかも知れません。返す気があるのかないのか不明な10兆円以上の借金を抱えている割には他人に厳しいですね。
ソフトバンクによる信用情報誤登録事件
2009年10月~2013年8月の期間、割賦契約の支払いに関する信用情報機関への登録を、本来であれば”$” (期日までに入金済み、つまりきちんと返済したという意味) を登録するべきところ、”A” (未入金・滞納) を登録していました。
その数実に63,111件。
その後、プレスリリースでお詫びをするわけでもなく、誤登録をしてしまった人に小銭相当額の金券を渡してお茶を濁そうとした一方で、広告スポンサーの立場を活かしてマスコミ各社に報道しない権利を行使させていたとしか思えないぐらいあっという間にこの話は忘れられてしまいました。
加盟信用情報機関
- CIC (シー・アイ・シー)
- JICC (日本信用情報機構)
提携信用情報機関
- 全国銀行個人信用情報センター (KSC)
おわりに
今回は、各キャリアが販売する携帯端末の割賦契約審査がなぜ甘くなりがちなのか、信用情報で一体どこを見ているのか、というお話でした。
読み返してみると、やはり個人信用情報というものがどんなものなのか、全く消費者に知らせずに約款に分かりにくく、「個人信用情報を照会・登録するからご理解よろしう」、とだけ書かれた状態で割賦契約を結んでしまうのはいかがなものかと思います。
マイナスのインパクトについてもう少し注意喚起しても良いと思うんですが・・・、キャリアのコスト増でしかないと思われているのか、そういった気配は全くありませんね。