今回からいくつかに分けて、各クレジットカードの国際ブランド内での格付け(グレード)について書いていきたいと思います。クレジットカードと言えばなんだかんだで一番最初に思い浮かぶのはVISA、という方が多いと思います。…ということで、第一回はVISAブランドのクレジットカードの格付けについて書いていきます。
「国際ブランド」って何だっけ? という方向けに。
「国際ブランド」とはクレジットカード加盟店に対して提供される決済システムを指します。国際ブランド企業は決済手数料の一部を受け取ることで成り立っています。
平たく言えば、あなたがコンビニで買い物をする際に、VISAマークが付いているカードで決済をすると、それが三井住友VISAカードだろうが楽天カード(VISAブランド)だろうがVISAは儲かるわけです。これだけクレジットカードが浸透した社会だと最早世界的なインフラ企業と言っても過言ではありません。そんな金融インフラも海底ケーブルなどを通過するインターネットに支えられている様なもので、まさにネット依存社会なわけです。
そして、VISA自身はクレジットカードを発行していません。あくまでクレジットカードの入会審査・発行・支払い管理はクレジットカード会社各社が各国で行っています。そのため、「VISAカード」というクレジットカードは存在しません。三井住友VISAカード、の様にVISAブランドを前面に押し出したカードがありますが、「三井住友カード」が発行したVISAブランドのカードであり、それは「三井住友カード」なのです。
詳しくは以下の記事を読んでみて下さい。
クレジットカードの仕組み(1)
クレジットカードとはどのようなモノなのか、どのような構造で成り立つのか、ということについて一度まとめておきたいと思います ...
VISAカードのカード格付けのまとめ
2017年末現在、VISAブランドのカードにおけるグレードは以下の4つに分かれています。番号が低いものほど高ランクです。
- VISA Infiniteカード
- VISA Signatureカード
- VISA プラチナカード
- VISA ゴールドカード
- VISA クラシックカード
また、番外として、VISAプリペイドカード、VISAデビットカードがあります。いずれも今回は番外ということで深くは取り扱いません。
VISAプリペイドカードは、クレジットカード番号と決済システムに紐づけて、名前のとおり先払いでプリペイドカードにチャージしたお金を決済に充てるカード。
VISAデビットカードはクレジットカード番号と決済システムに紐づけて、銀行口座に入っているお金で即払いして決済を行うカードです。
VISAブランド内グレードと各カード会社発行のカードグレードの関係
稀によくある(?)ことなのですが、クレジットカード会社発行のカードが「××カード」を謳っていても、実は国際ブランドにおいては一つ下のグレードだったりすることがあります。また、ゴールドカードとひとくくりに言っても、年会費によって国際ブランドからグレードに応じて提供されるサービスの一部が削除されていることもあります。
年会費を削減しつつ、カードグレードを維持して、普段使用しないサービス分の費用削減を求める顧客のニーズに応える商品を作ろうという企業努力の顕れであると言っても良いでしょう。その代表格である年会費2,000円前後のゴールドカードなんかは、某巨大掲示板では偽金呼ばわりされることもあるようですが…。
5th Grade. VISA クラシックカード
一番下のグレードは「VISAクラシックカード」になります。
年会費無料もしくは1,000円前後のカードは大抵このクラシックカードです。リボ払い専用カードもほぼクラシックグレードのカードに該当します。日常生活で最も目にする機会が多いグレードのカードであると言えるでしょう。有名どころとしては、三井住友VISAクラシックカード、楽天カード、Yahoo! JAPANカード、エポスカード(VISA)、ビックカメラsuicaカード、ライフカードなどがあります。
主要なクレジットカード会社のほぼ全てが、VISAクラシックグレードのカードを発行していると言っていい状況です。
代表的なVISAクラシックカード
三井住友VISAクラシックカード
・緊急時の対応に定評あり、学生の方や初心者におススメ
・クレジットカードに必要な基本機能を一通り備えたカード
・信頼と安心の銀行系プロパーカード
年会費 | ポイント還元 マイル換算 | 審査難易度 | 国際ブランド |
初年度無料 翌年以降1,350円 | 0.5%~1.0% ANA300~600マイル/10万円 | ★★★(一般) ★★++ (学生) | |
最短発行 | 利用限度額 | サービス充実度 | お得度 |
3営業日 | 10万~80万円 | ★★★+ | ★★★ |
- 学生の方は要チェック : 【学生専用】三井住友VISAカード公式サイト
4th Grade. VISA ゴールドカード
下から2番目のグレードは…ゴールドカード!
金色に燦然と輝き眩しすぎて直視できないゴールドカードもVISAブランドの中では下から2番目なわけです。何とかビリにならずに済んだというか…。クレジットカードにもデフレの波が押し寄せたのか、昨今の年会費2,000円クラスのカードの登場もあり、もはやステータスカードでもなくなってしまいました。割と誰でも持てるカードの部類になって来ています。しかしながら、年会費の幅が2,000~20,000円前後とかなり幅が広く、「ゴールド」の一言でくくるにはあまりにサービスやアフターケアのレベルに差が出てきており、最も混沌としたグレードのカードなのかも知れません。
色は金色に輝いていますがサービスの輝きはカードによってかなり鈍って来ています。ステータスを求めるならワンランク上を目指すべきです。キャバ嬢がゴールドカードを見て誉めそやしてくれる時代も終わりを告げたのかも知れません。
代表的なVISAゴールドカード
三井住友VISAゴールドカード
・どこで使っても恥ずかしくない、社会人ならいつかは欲しいカード
・信頼と安心の三井住友銀行系ゴールドカード
・ハイステータスカードの登竜門!
・海外旅行保険、国内旅行保険自動付帯
・実質年会費は5,000円未満まで削減可能
年会費 | ポイント還元 マイル換算 | 審査難易度 | 国際ブランド |
初年度無料 翌年以降10,000円 | 0.5%~1.0% ANA300~600マイル/10万円 | ★★★★ | |
最短発行 | 利用限度額 | サービス充実度 | お得度 |
3営業日 | 50万~200万円 | ★★★★ | ★★★++ |
ゴールドカードの審査基準
ゴールドカードの審査基準については、以下の記事で触れていますので、興味のある方は読んでみて下さい。
ゴールドカードに必要な年収・属性は?
ゴールドカード…それは至高の輝き。 なーんて聞くと、やはり一味違うどこかオカネモチを彷彿とさせる響きに聞こえませんか? ...
VISAゴールドグレードのサービス
3rd Grade. VISA プラチナカード
中間のグレードは、VISAプラチナカード!やはり黄金よりも白金の価値が高かったこともあり、この名称が使用されている様です。上から数えても下から数えても3番目の真ん中ポジションですが、後述のVISA Signatureカードが日本国内では発行されていないため、日本国内では実質的に上から2番目の上位カードと見て良いでしょう。
VISAプラチナとなると、各種トラベルサービスやコンシェルジュデスクなどのサービスが一気に充実します。もちろんVISAゴールドグレード向けのサービスもすべて利用可能です。この辺りから、年会費相応のサービスを使いこなすのが難しくなってくるとも言えます。また、利用限度額もぐっと数百万レベルまで上がることが多いです。審査基準も相応に厳しくなってきます。
代表的なプラチナカード
プラチナグレードから発行元カード会社がぐっと絞られてきます。
三井住友VISAプラチナカード
・国内最高のVISAプラチナ
・VISAプラチナコンシェルジュなど、充実の付帯特典
・旅行保険は充実の補償内容 (海外・国内旅行共に自動付帯、家族特約〇)
・インビテーションがなくても自己申込み可能
年会費 | ポイント還元 マイル換算 | 審査難易度 | 国際ブランド |
50,000円 | 0.5%~1.0% ANA300~600マイル/10万円 | ★★★★★+ | |
最短発行 | 利用限度額 | サービス充実度 | お得度 |
3営業日 | 300万円~ | ★★★★++ | ★★★++ |
プラチナカードの審査基準
プラチナカードの審査基準については、以下の記事で触れていますので、興味のある方は読んでみて下さい。
プラチナカードに必要な年収・属性は?
プラチナカード…それは成金趣味のゴールドカードとは一線を画す趣を持つ、大人だけが分かる真の輝き。 なんて聞いても、実際ゴ ...
VISAプラチナグレードのサービス
VisaプラチナダイニングやVisaプラチナゴルフなど、グルメやレジャー、ショッピングや旅行など、明らかに生活に余裕のある人向けのサービスが多いです。やはりそうしたお金を落としてくれる客層を掴みに行くグレードのカードであるということですね。
2nd Grade. VISA Signatureカード
残念ながら日本国内では未発行の最高グレードのカードのひとつです。
サービス提供内容はVISA Infiniteカードと同等と言われていますが、日本国内での発行事例がないため、海外のカード情報を参考にするしかありません。
三井住友VISAカードあたりで是非発行して欲しいものですね。
1st Grade. VISA Infiniteカード
最高グレードはVISA Infiniteカード!
いわゆるブラックカードに相当するグレードのカードです。日本国内ではスルガ銀行が発行する、スルガVISAインフィニットカードのみがこのInfiniteグレードに該当する様です。実はVISAカード最大手と目される三井住友カードでさえも、このInfiniteグレードのカードを発行していません。
インビテーションによる招待された顧客のみが加入可能なカードであるのはもちろんのことですが、インビテーションをもらうにもクレジットカード利用実績のみならずスルガ銀行で住宅ローンを組むなど、スルガ銀行という金融機関のロイヤルカスタマーであることが強く求められるようです。入手難易度は非常に高いと言って良いでしょう。
[ブラックカード] SURUGA VISA Infinite (インフィニット) 【この先どうなる】
今回は国内唯一のVISAカード最高グレード「VISA Infiniteカード」である、「SURUGA VISA Infi ...
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代表的なInfiniteカード
- スルガVISAインフィニットカード
年会費12万円、と一般に比べたらかなり高額ですが、最高レベルのブラックカードとしては控えめな年会費であると言って良いと思います。例えばMastercard最高グレードのLUXURY CARD GOLDだと年会費20万円、アメックスの最高グレードであるセンチュリオンカードでは年会費50万円と非常に高価です。
VISA Infiniteグレードのサービス
何がどうインフィニットかというと…たとえばトラベルサービスはホテルの宿泊部屋アップグレードがありますが、これがリッツカールトンやスターウッドホテルといった超一流どころであること。庶民にはなかなか宿泊を考えることもむずかしめなところばかりです。
やはりサービスはグレード相応の内容になります
ここまでVISAカードとしてのグレード(格付け)の紹介を書いてみました。
やはりグレードでカードの色が異なり、サービス内容も大きく変わります。自分がどの程度のサービスを求めていて実際に利用するか、ということを考えてクレジットカードを作るべきですね。公共料金引き落としやショッピングだけにしか使わないならクラシックグレードで大抵は間に合います。
限度額が数百万単位でほしい、旅行保険や手厚いサポートが欲しい、という方はゴールドやプラチナを検討しましょう。
以上でVISAカードのグレードについての紹介を終わります。
不定期に今後はMasterCardやJCBのグレードについて書いていこうと思います。お時間のある時に読んでみていただけると幸いです。