今回はクレジットカードの利用代金支払い時に、引落し口座のお金が足りなかったときに何が起こるか、どのような対処が必要かという話をしたいと思います。
ご存じのとおり、クレジットカードは利用してすぐにお金を支払うものではなく後払いです。例えば、毎月1日~毎月末までの利用総額が翌月10日頃までに確定、27日に指定口座から引き落としが行われる、といった具合に一月程度遅れての支払いになります。この約一月のラグがあるため、時折クレジットカードの支払い日までに引落し口座への入金を忘れてしまい、引落しが出来ないという事があった方もいるかも知れません。
端的に言えばこれはきれいな信用情報を維持するうえで非常に危険なことです。
こうなってしまった場合にどうすれば良いのか、どの様なペナルティや影響が発生し得るかという点が今回のお題です。
クレジットカード代金支払いは基本的に一日も遅れてはならない
- 再引落しがあるからその時に支払えればOK
- 電話で交渉して振り込めばOK
こんなことを言っている方、考えている方、甘いです。「Credit = 信用」の意味を理解していません。支払いが遅れる時点で信用を棄損していると思ってください。
まず、すべてのカード会社が再引落し (再振替) 対応か?というとそうではありません。再振替対応だったり、再振替対応可能なのは一部銀行のみだったり、そもそも再振替自体に対応していないカード会社もあります。そのため、基本的には支払い日に引き落としが正常に行われなかった時点で危険な状況です。
自分の身に置き換えて考えてみる
例えば、あなたの勤め先が給料日に給料を振り込んでくれないとどう思いますか?
毎月25日に〇〇万円の給料を指定口座に振り込みます、という労働契約に基づいて働いているはずの貴方に何の断りもなく給与振り込みを行わず、数日遅れて30日頃に黙って給料を振り込んできた時点で「この会社ヤバいな」、と黄色信号が灯りませんか?
突然経理担当が、「こないだの給料だけど何日まで振り込み遅らせていい?」「半分しか払えないんで残りは来月分とまとめて払っていいかなあ?」なんて電話かけてきたら頭の中で赤信号が点滅して転職活動始めますよね?
当然お金を貸している側のクレジットカード会社だって似た様なことを思うのです。ガチガチの契約とその契約をどれだけ順守できそうか、順守してきたかが評価されます。
クレジットカード支払い延滞によって何が起こるか?
クレジットカードの代金支払いが行われない場合、以下の処理が淡々と進められます。
- 銀行からクレジットカード会社へ、請求番号xxxxxx (あなたのクレジットカード代金引落し) が実行できませんでした、という通知が行われます。
- クレジットカード会社はその情報を元に、即座に督促対象候補リストを作成します。
- (Optional) いわゆる「再引落し」を行っているクレジットカード会社は、再引落し日までノーアクション。再引落しが正常に行われたかを確認します。
- 督促対象リストに載った人(既にブラック予備軍)に対し、コールセンターから電話での支払督促を行ったり、支払督促のメールや葉書を送付します。
4の段階を経ても支払いが行われない場合、クレジットカード会社は会員の個人信用情報 (CIC, JICC) に支払い延滞があったという事実を記載する可能性が高まります。CICで言えば「A」マークが延滞の記録になります。
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CIC情報を開示しよう!
個人信用情報上に支払い延滞の事実が記録されてしまうと、以後の生活に不便をきたす可能性があります。まず、延滞を起こしたクレジットカードを召し上げられる (強制解約) 可能性があります。特に、新規クレジットカード発行に関しては審査に通る可能性がかなり低くなります。CICは全てのクレジットカード会社が入会審査の際に参照する個人信用情報機関であり、そこに「A」(支払延滞) を付けられてしまうと破壊力抜群です。。。
それ以外にも、延滞したクレジットカード会社以外からも途上与信の際に更新を拒否されたり、減枠にあったりする可能性が高まります。クレジットカード会社はカード発行後、会員が他社含めてまともにクレジットカードを利用しているか・割賦購入品のローンをきちんと支払っているか・借りたらきちんと返しているか、を定期的にチェックしています。自社の貸し付け残高が焦げ付かない様に危険な会員を把握するためでもあり、支払い実績の優れている方にはより多くの与信枠を与えて自社で囲い込むことが目的です。そのために3か月~1年に一度ぐらいはあなたの信用情報を閲覧しに来ています。一般的にこれを途上与信と呼びます。
そのため、途上与信で支払い延滞の「A」を見つけると自社で延滞される前に対策を打たねば!と考え、突然カードの利用停止やショッピング枠減枠といった措置を取る場合があります。
あなたも、お金を貸しても返してくれなかった、という噂のある知人・友人に好き好んでお金貸しませんよね?
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クレジットカードにおける「途上与信」では何をしているのか?
CICに延滞の「A」が付くのは支払い延滞61日以後じゃないの?
違います。
61日 (または3か月) というラインは異動 (長期支払い延滞) 情報を支払い状況欄に記入する際のガイドラインになる延滞期間です。延滞して61日を過ぎると、異動を付けられ、本当に信用情報がブラックと呼ばれる状態になります。
CICは各クレジットカード会社や金融機関の登録する、個人信用情報を一元管理する機関に過ぎません。個々のカード会社からの登録内容を審査しているわけでもないので、カード会社が登録申請した内容をそのまま載せています。そのため、極端な言い方をすると、クレジットカード会社各社はやろうと思えば会員が一日でもカード利用代金支払いが遅らせたらAマークを付けることができます。
対応も各社まちまちです。
各社の対応例
- A社 … 支払期日で引落しができなくても、再引落しまで待って、再引落しが正常に行われなかったら会員にメール・電話で個別に連絡し支払い要請を行う。それでも支払ってもらえない場合にAを付ける。
- B社 … 支払期日で引落しができなくても、再引落しまで待って、再引落しが正常に行われなかったら機械的にAを付ける。
- C社 … 支払期日で引落しができなかったら、優良会員 (=枠が大きく支払い実績の良い会員) には個別連絡し支払ってもらえない場合にAを付ける。非優良会員には即座にAを付ける、またはAを付けると同時にカード強制解約措置をとる。
- D社 … 支払期日で引落しができなかったら、会員へメールで連絡し〇〇日後までに指定口座に代金を振り込む様要請を行う。この振り込み期日が守られない場合、非優良会員にはAを付ける、もしくは強制解約措置をとる。
この様に各社対応は異なります。また、CICにおいては「再引落しで支払ってもらえた」という分類がないため、再引落しで支払ってもAが付かない事が多いです。しかし、各カード会社内では「期日通りに支払った」or「再引落しで支払った」という分類を会員ごとにきちんと行っていますので、毎回再引落しで支払っているような場合、次回のクレジットカード更新を拒否される場合があります。
おわりに
今回の記事では、クレジットカード利用代金支払い時に、残高不足だった場合に何が起こるのか、再振替してもらえるのか、という点についての概要を記載しました。
次回は、カード会社各社の、再振替の対応可否や、残高不足後のアクションについて書いてみたいと思います。
最後まで読んで下さってありがとうございました。