夜勤明けの一服みたいですが、遥かに深刻で今後のクレジットカードライフを決してしまう可能性もある、いわゆる「喪明け」後の一枚目のクレジットカード。当サイトへもそんな検索ワードで辿り着き読んで下さる方が意外と多いようなので、今回は金融事故を起こしてしまい数年喪に服した後、再度クレジットカードを取得する場合に適したカードや、喪明けの一枚目に当たっての心構えなどを僭越ながら書いてみたいと思います。
「任意整理や自己破産した奴がクレジットカード使うのかよ?」と言う方もいらっしゃるかも知れません。しかしながらキャッシュレス化は避けられぬ流れであり、プリペイド型カードやVISAデビットといった支払い方法ではサービスを受けられない場合も多々あります(多くのISP、高速道路、機内販売など即時引き落としに対応していないサービス)。大げさかも知れませんがクレジットカードを使えない人が被る社会的不利益が年々大きくなってきている気がします。賛否両論あるかも知れませんが、このブログではクレカライフ再スタートに適したカードを紹介したり、クレカライフ再スタートに当たっての心構えなどを書いて見たいと思います。
喪明けを迎える前にやっておくべきこと
簡単な用語の整理
- 異動
いわゆる貸倒れを指す用語。ブラック情報そのもの。具体的には61日以上もしくは3か月以上の延滞や不払いによる。 - 喪明け
任意整理や自己破産などの金融事故から5年以上が経過して「異動」情報が消えた(消えているであろう)状態。 - スーパーホワイト
クレヒス(信用情報)に全く記載がない状態 (「クレジットカードや各種ローンを全く使用したことがない人」に見える) - 社内ブラック
CICやJICCなどに保管される信用情報以外に、クレジットカード会社各社が保持する顧客データとして、「こいつは踏み倒したからもう貸さないリスト」に入っている状態。いくら法的に免責されたとはいえ民間営利企業としては一度貸倒れを起こした顧客には基本的に二度と貸せません。慈善事業ではないので…。
こうした用語の定義と整理は別記事でもっと詳細にやりたいと思います。
※ 喪明けの一枚、というネタは大手から当サイトの様な弱小サイトまで取り扱っているところがそれなりに多いですが、「自己破産情報は7年間保持される」などと誤った古い情報を拡散し続けているサイトが散見されたため、自分自身の情報の整理の意味合いも兼ねて、きちんと情報を整理しようと思い立ちました。そういうサイトに限ってアフィリエイトリンクはきちんとメンテナンスしているんですがね(笑)
喪明け前にやっておくべきこと3つ
1. 定収入を得ている身分でいること
当たり前と言えば当たり前ですが、クレジットカードを作りたい場合は借りたお金をきちんと返せる収入が必要です。正社員でも契約社員でも派遣社員でもなんでもいいので固定収入を得ましょう。解雇などによる固定収入喪失のリスクが低い (貸す側にとってのリスクが低い) と評価されるのは正社員です。
2. 喪明け前にこそクレヒスを作りましょう。
クレヒス = クレジットヒストリーです。喪明け直後は上記のスーパーホワイト状態(もしくはそれに限りなく近い状態)になるため、ほとんどクレヒスがありません。クレヒスはクレジットカード決済でお金を立替え払いしてもらったものを返済したり、ローンカードでお金を借りてそれを返したりすると蓄積されていきます。それ以外に、分割払いで品物を購入して毎月返済していくことでもクレヒスは構築されます。代表的なのが、携帯電話の割賦購入です。
例えばスマートフォンの機種変更をする場合、何でも良いので一括払いの購入は控えて分割払いで購入しましょう。昨今のスマートフォンは高額になり、クレヒスにキズがある場合審査に通らない場合もあります。審査が通るあまり高額でない機種を狙って分割購入できれば、毎月の携帯電話代の支払いの際に購入したスマートフォン代金の分割支払いも同時に行われます。これにより毎月「ちゃんと支払ったよ」という「$」マークが信用情報(CIC)に記入されていきます。半年分程度でも、借りた分をきちんと返済した履歴があるのとないのとでクレジットカード審査のハードルがかなり下がります。
裏を返せば、携帯電話代金の支払い遅延や踏み倒しで信用情報にキズが付き、クレジットカード発行が困難になるということでもありますね。携帯電話代は期日までにきちんと支払いましょう。
3. ちゃんと「喪明け」してますか?
信用情報に記録されていた「異動」情報がきちんと消えているか確認しましょう。
コチラの記事で信用情報(CIC)開示の手続きの解説をしています。
CIC情報を開示しよう!
今回はCICの個人信用情報の開示に関して、信用情報開示にかかる費用、窓口での信用情報開示の手続き、インターネット開示手続 ...
よく、「ブラックになっても5年経てばクレジットカードを作れる」と言われていますが、何から5年なんでしょうか?「裁判所が出した免責確定日から起算して5年後に異動情報を削除することを債権者が受け入れた場合」という条件付きで免責確定日から5年です。CICだと月初に情報更新されるので「60か月後の初日」になるでしょう。
そもそも、任意整理や自己破産による免責が確定した日に必ずしも債権者 (銀行やカード会社) に連絡がいくとは限りません。そこは担当の司法書士や弁護士の方と確認しましょう。一番早いのは自分で信用情報を閲覧して、迷惑をかけた債権者がいつ異動情報を削除してくれるかを確認することです。CICなどで開示した信用情報には「保有期限」が記載されていますので、それが実際に「異動」情報が消える時期です。
この確認を怠っていると、免責確定から半年以上経過してようやく債権者に連絡がいったりして、その時から5年後を異動情報削除日にされてしまう場合もあります。また、貸倒れになったけれど支払いの免責確定通知がきちんとされていない場合、「とりあえず無期限で異動情報を登録しておく」という債権者もおります。
喪明け後に発覚した、「無期限の異動情報」を消してクレジットカードを作りまくった人のお話はコチラ
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当たり前ですが、自分がどの会社に迷惑をかけたか把握しておきましょう
前述の「社内ブラック」の箇所にも書きましたが、立替えたお金を返してくれなかった人に再度クレジットカードを発行してくれる会社は基本的にありません。ごくごく稀にそうした事例もありますが、レアケースなので期待しないでおくべきです。喪明け後に申し込むクレジットカードについては、過去の債務整理で迷惑をかけてしまっていない会社が発行しているものを選ぶ必要があります。
支払い遅延してしまった人は
支払い遅延などで「A」マークが付いてしまっただけの場合は、2年間待ちましょう。CICの履歴は24か月分しか開示されないので、2年間待てば支払い遅延の履歴が押し出されて見えなくなります。たかだか数日遅れただけ、程度の支払い遅延でもクレジットカード会社によっては容赦なく「A」マークを付けてきます。そして、不定期に行われる途上与信 (自社カード会員の、他社含めた借り入れ・返済状況をクレジットカード会社が覗きに来ること) によって「A」マークが発覚してしまうと、限度額を縮小されてしまったり、そのカード会社で延滞を興していなくてもクレジットカード更新をしてくれなかったり、最悪の場合突然一方的に解約されてしまったりします。
クレジットカード会社各社が会員獲得にしのぎを削っているため突如解約はそうそうありませんが、これまでの支払い履歴や属性(収入・職業の安定度・資産状況)からリスクの高い顧客だと判定されてしまった場合はその限りではありません。
おわりに
「金融事故なんて底辺にしか縁のないものでしょ」と言われる方もいるかも知れません。しかしながら、突然親族を扶養させられたり、事業が上手くいかなくなり気付いたら破産するしかない状況に追い込まれたり、身内にクレジットカードを勝手に使われてその支払いが滞ったりするだけで金融事故の泥沼に片足突っ込んでしまうことになります。思っているほど無縁のものではなさそうです。普段からきちんと支払い状況を確認してブラックにならないのが一番ですが、万が一ブラックになってしまっても、この記事に書いたことを実践できれば十分に抜け出すチャンスはあります。
長くなったので「喪明けの一枚目」、についてはまた別記事で書きます。