以前の記事(「クレジットカード会社はどうやって利益を出しているのか」)で、クレジットカード加盟手数料について解説しました。
クレジットカード会社のビジネスモデル ~カード会社の利益はどこから来るの?~
本記事では、クレジットカード会社がどのようにして利益をあげているのかを解説します。日常で何気なく使っているクレジットカー ...
加盟店手数料はあくまで、「加盟店がクレジットカード会社に支払うべきもの」であって、決して加盟店の顧客へ支払い要求して良いものではありません。ところが、一部の順法意識の欠如した加盟店は、一括払いだろうが顧客にカード手数料支払いを要求していることがあります。誹謗中傷の意図はありませんが、飲食店に多く見られます。特にランチタイムのみ現金払いオンリー、といった具合に。利益率を度外視した値下げのし過ぎで加盟店手数料を支払うと利益が出ないか赤字なんでしょうけれど、そもそもの値付けに問題があるわけで客に転嫁するのは筋違いです。
お店の側からすれば、「クレジット決済の利便性を提供しているんだからその分のコストを払ってくれ、払わないなら提供できないよ」という言い分もあると思いますが、加盟店規約上禁止されている行為なのです。
また、スナックやラウンジ、夜のお店の類も、「クレジットカード手数料10%をもらい受けます」などと堂々とやらかしてくれます。こうしたお店の一部は、自店でクレジット決済できないため他店で代わりに決済してもらっていたりと、かなりアレなことをしている場合もあります。
カード手数料を要求されても払う必要がない根拠
加盟店は手数料を払うことでこれだけのメリットがある
クレジットカード加盟店は、カード決済額に応じた加盟店手数料を各クレジットカード会社に支払うため、加盟店手数料の分だけ現金決済と比較すると利益は減少します。
が、加盟店手数料が吹き飛ぶぐらいの大きなメリットを享受し得るのも事実です。
- 手持ちの足らない消費者の「取りこぼし」を減らす (顧客獲得)
- 分割決済やリボ払い可能とすることで、より高価な物品の購入を促す (顧客獲得・顧客単価向上)
- カード決済の方が消費者は余計な買い物をしやすい (顧客単価向上)
- クレジットカード利用者は一定以上の信用を得ている良質な顧客
- カード決済は現金決済と比較してスピーディ(釣銭の準備・受け渡しがない)で低リスク(強盗に入られても現金を奪われない)
- 銀行振込と比較しても、入金確認や振込額間違いの訂正処理(返還や再請求)がないため人件費を抑制可能
加盟店手数料を払わなくてもよい理由
クレジットカード決済は、以下の「三者間契約」に基づいて行われております。
- 消費者
- 加盟店
- カード会社
クレジットカード加盟店は加盟店手数料をカード会社に支払うことで、クレジットカードを取扱うことが可能となっています。現金ではなくカード決済の場合は加盟店手数料の分だけ利益が少なくなります。しかし、前述した多大なメリットを享受するために、加盟店手数料を負担してでもクレジットカード決済を利用できるようにしています。原則として手数料は受益者負担、というわけです。
「加盟店手数料」を消費者に転嫁することは明白な加盟店規約違反です。加盟店手数料の支払いを請求されても支払う必要は全くないのです!
加盟店手数料を請求されたらどうするべきか?
「加盟店手数料は消費者が払う必要はない」と店員に伝えましょう。それでもしつこく支払いを要求してくる場合は可能なら現金払いにしましょう。手持ちが足らない場合はカード払いにするしかありませんが、カード会社に返還を請求しましょう。
加盟店手数料支払いを強要されたことをカード会社に通報すれば、カード会社から加盟店へ警告が行われます。加盟店側が行いを改めてくれることを期待しましょう。場合によっては加盟店資格が剥奪されるかも知れませんが、加盟店の自業自得なので気にする必要はありません。
手数料上乗せ請求を退けたエピソード
5 名無しさん@ご利用は計画的に2017/07/29(土) 01:43:19.62ID:g2naczTp
346 :猫頭 ● :2005/03/21(月) 16:04:40 ID:??? ?
加盟店手数料の話をしたことのある友人からもの凄いメールが...。横浜の某飲食店にて会計時に手数料を5%要求されたそうな。
そこで彼女が店員に告げたことは...元決済分だけカードで。残りの手数料は現金で払いますっ!
でも、その手数料分だけ領収書切って、但し書きにカード利用手数料と書いてね ★ミ(原文ママ)
店は露骨に嫌な顔をして、手数料を免れたようです。強者。私のような小心者には真似できません...。引用 : https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/credit/1501259949/
ここで大事なポイント!
- 加盟店はクレジットカード決済分の「領収書」を発行する義務がない
- 加盟店はクレジットカード決済の「利用控え」を発行する義務はある
- 加盟店は現金決済の「領収書」を発行する義務はある
この三つです。
まず、本来の利用料金をクレジットカード決済することで、最低限、「利用控え」は発行されます。利用控えにアクワイアラ (この加盟店と直接契約を結んでいるカード会社) が判明するため、「お宅の加盟店はこんなせこい悪事を働いて小銭稼いでるよ」とチクってやることが出来るわけですね。
もしクレジットカード決済で、上乗せ手数料分も支払いっていた場合、明確にそれが手数料分であるという領収書を発行してもらえない可能性があります。「カード決済で手数料を上乗せ請求された」というエビデンスが得られない可能性があります。そうなるとアクワイアラへ訴え出ても相手にしてもらえないことも。
現金決済の場合、領収書を発行する義務が加盟店側にあるため、妥当な但し書きである「カード利用手数料」という情報を漏らさず回収できます。
実際に支払ってしまった上乗せ手数料を取り返すことは出来るのか?
上述の機転の利いた対処も、上乗せ手数料支払いを回避するための方法でしかありません。それでも手数料を払え!と怖い人を連れてこられて暴力に訴える雰囲気を醸し出されてしまうと、一般人では対処のしようがない場合もあるでしょう。
実際に上乗せ手数料を支払ってしまった場合、取り返すのは難しいようです(2018年2月現在)。実際に手数料を請求された場合、支払い前にカード会社に助けを求める…ことが出来ればいいんですが、飲み屋や夜のお店なんかでそういう目に遭うと、カードデスクが既に営業時間外であったり、訴えたくても決済内容が内容なので恥ずかしくて言えない、というパターンもあるでしょう。そうしたシチュエーションでのなし崩し的な手数料徴収を狙っている輩もいるかと思われます。
もし加盟店手数料を上乗せで取られてしまった場合、手持ちのカード会社すべてに対して事実を公表してしまいましょう。現在のアクワイアラの加盟店からハブられて別のカード会社を探そうにもどこにも入れてもらえなくなる…かも知れません。業務妨害で訴えようものなら、自身が行った手数料上乗せ請求という加盟店規約違反行為が明るみに出ます。
おわりに
不当な手数料上乗せ請求に応じる必要はない、とは言ったものの本当にどうしようもない場合はどうしようもないです。暴力に訴えられてケガしてもやられ損になりかねません。出来るだけ手数料を請求してきそうなお店や業種では極力カード決済を避けるか、そもそもそういう店舗の利用をやめましょう。なくても困らないお店しかないはずです。