数日前のニュースですが、雑誌「GOETHE」(ゲーテ) のweb版に掲載されていた、ダイナースクラブの広告記事が炎上の末削除されています。
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件の炎上記事の概要
「美人秘書たちの本音トーク炸裂!いま男性が持つべきクレジットカードとは?」という何とも扇情的なタイトルで掲載されていたこの記事。
クレヲタの大物、猫頭氏が異常な反応を示していたのでしばらく前から注目していました。しかし記事を読んだ後の読後感はあまりよろしくないものでした。
「通販サイトのカードでいばられてもね(笑)。」
「男性が交通系の機能がついたカメラ屋さんのカードで支払っていたときは、気まずく感じてしまって見ないふりをしました(笑)。」所有カードを散々バカにされるイメクラ、こここここれどこにあるんですか?(*゚∀゚)=3 https://t.co/W4FBSz3ENf
— 猫頭 (@nekogashira) November 24, 2018
記事の内容をざっくり書くと、自称「美人秘書」のお姉さんたちが、
- 他社発行クレジットカードをディスる
- 楽天カード、ビックカメラSuicaカードをほぼ名指しでダメ出し
- ポイントを貯めるのに拘る男は器が小さい(笑)
- 拘らなさすぎもダメ (笑)
- ゴールドカードを嬉しそうに出す男は「ギラギラしててダメ(笑)」
- 分かる人には分かるこの価値、ダイナースもってる私スゲー
という何ともお粗末な記事でした。
散々他社カードを愛用している人々をバカにしつつ、「カードの種類とか色とかでその人がわかるとは思えないけど」と言いだしたり支離滅裂です。極めつけに「世界中このマークを見ればみんなが安心してくれる、そんなカードはこれだけ。社会人として持つ価値がある」などとほざき出す始末。極め付けは、「私家族カードでダイナース持ってます!」と、自分自身の属性の低さをさり気なく晒してしまい、自分の属性で審査通過したわけでもない家族カードの自慢をしだしたりと高尚なギャグでしょうか。台本だとしても素晴らしいです大平さやかさん。
Amazon Mastercardゴールドなんて付帯保険も充実しててAmazonプライムも無料で使えてマイペイすリボで年会費半額になる最高のカードだぞこの野郎。
さんざん世の男性を小馬鹿にしてましたが、皆様いずれも聞いたこともない企業 (実在) にお勤めの様で、きっと知る人ぞ知る超優良企業なんじゃないかなあ。タカゾノとか聞いたこともないけど。
と、まあ皮肉はこれぐらいにして、勤務先を明らかにしてこういう他社プロダクトをバカにするようなインタビュー記事に顔出しで出演して、自分の勤務先に悪いイメージを植え付けるリスクなどを考えなかったんでしょうか、このお姉さんたち。勤務先に「自社のイメージを著しく毀損した」とか訴訟起こされたりすると転職も難しくなりますよ。
せめて、「楽天カードやビックカメラSuicaカードもポイントが貯まりやすかったり、Suicaオートチャージが出来て便利なんですが、ダイナースもこんないいところがあるんですよ」という言い方だったらここまで炎上しなかったでしょうに。口は災いの元とはよく言ったものです。
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ダイナース (三井住友トラスト) もある意味では被害者
何でこんな記事を天下の三井住友トラストクラブ (ダイナースクラブカードの日本におけるイシュア) が出すんだろう?と疑問に思っていましたが、どうやら三井住友トラストの広告担当者も、ゲーテ担当者の持ち込み企画を信用して一任してしまっていた様です。
チェックしなかったのも悪いのですが、元々こういう「他人を貶して自分を相対的に持ち上げる」という図式の記事を持ってきたゲーテが悪いのは確定的に明らか。他所で言われているとおり、自称美人秘書のお姉さんたちの対談の中で出てきた言葉をそのまま載せていたとしても、そこは世間の反応も考慮して柔らかい表現に書き換えるのが編集の仕事のはず。後述の「ゲーテ」という雑誌の概要を見る限り、編集の必要なしと判断してしまったみたいで甚だ残念な方たちとしか言い様がない。
三井住友トラストクラブもいい災難です。
元々ダイナースクラブは、世界初のクレジットカードを発行した伝統あるクレジットカードブランドです。それなりに客層も選別しており格の高いカードであることに間違いはないのですが、こんな記事のためにイメージを毀損されてしまうのは心外の至りでしょう。
「GOETHE[ゲーテ]は、前向きで意欲の高いビジネスパーソンに向けたライフスタイルマガジンです。各界のトップランナーのインタビュー記事や、接待やデートで使えるレストラン、最新のファッションや腕時計などのさまざまな情報を発信。」
出典 : https://goetheweb.jp/ (Meta Description)
前向きで意識の高い人向けの訴求記事だったようですが、前向きな人が他社を貶めて自社を持ち上げるような記事を読んで購買意欲が増すとでも思ったんでしょうか。
「ステータスカードを持っていた方がいいんだな。でも気分悪いから作るならアメック〇だ!」、という様なオチになると何故気付かないのか。
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恐らくもう幻冬舎 (ゲーテ発行元) は当分三井住友トラストからの仕事はもらえなくなるでしょうし、他のクレジットカード会社もプロモーションの依頼をこの会社には依頼しなくなることでしょう。
削除されてしまい残念に思っている方も世の中にはいるようですが・・・
── 秘書たちの発言については「実際に座談会で出た議論」だったそう
ガチ素人出演!
仕込みヤラセ無し!こんなことワザワザ言ったら余計悶々とするじゃぁないですかぁ!https://t.co/jOepHDjcIT
— 猫頭 (@nekogashira) November 28, 2018
炎上記事の出所たる「ゲーテ」とは
『ゲーテ』(GOETHE)は、幻冬舎が発売する男性向けビジネス・カルチャー・生活情報誌である。毎月24日発売。
概要
2006年2月24日創刊。創刊準備号は2005年9月に発売され、翌年2月発売の4月号にて正式に月刊化。タイトルは「ゲーテのような人生を」とのコンセプトにちなんだもの。メインテーマは「仕事が楽しければ人生も愉しい」。よい意味での「ワーカホリック(仕事中毒)」を「ビジネスホリック」と呼び、旅行、インテリア、ファッション、高級時計など、毎月のテーマに沿って、自らの仕事に打ち込む「ビジネスホリック」な人物をフィーチャーする。取り上げられる人物は、30-40代の男性が多いが、女性もみられる。ビジネス界の人物に限らず、俳優、スポーツ選手の登場頻度も高い。
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Wikipediaから雑誌「ゲーテ」の概要部分を引用しました。「ゲーテの様な人生」ってどんな人生なんでしょうね。裕福な親のカネで大きな家に一人暮らしして毎日小洒落たファッションで勉強に身が入らないとか、行く先々で色恋にうつつを抜かすとかでしょうか。一応きちんと仕事もされていたようですが。。。
お仕事でそれなりに成功していたり、大企業勤めの30代~50代ぐらいの方たちを読者層として、インテリアや旅行、腕時計などを紹介してより豊かな生活をするためにお前らとにかく消費しようぜ!と訴えかけてそうな感じの雑誌です。実際私も美容院の待ち時間にスマホが電池切れで仕方なく暇つぶしに読んだことぐらいしかありませんが、腕時計とバッグとコートだけで合計50万円等と、非上場企業勤務のワタクシの購買力ではとても恐れ多かった記憶があります。
- 美人秘書
- 高級腕時計
- 高級車
- ステータスカード
などなど、こうしたものを手に入れるのが男の価値だと言わんばかりの内容で、頭の中がバブル期で止まったままの小父さん (お爺さん?) が企画を作っているのでしょうか。最早こうしたものに目の色を変えて食い付く若年男性はひと昔前に比べると減っています。価値を与えないばかりか、20代~30代男性の嫌悪感を煽る結果にすらなっているように見えます。
こうした雑誌、新聞やテレビに出す広告による売上増加は効果測定が非常に行いにくいです (モノを買う時に、「〇〇新聞の広告を見て買うことを決めました」とかいちいち言いませんよね)。近年は特にROI (Return Of Investment : 費用対効果) を明確にすることが企業購買では当たり前になりつつあるため、恐らくこの雑誌も紙媒体の広告収入の減少にそれなりに苦しめられているのでしょう。それもあってWeb版を立ち上げ、目に見える効果測定をウリにして広告主を集めているのだと思います。しかしなりふり構わずとは言え他社を貶めるような広告記事を打ってしまったのはいただけませんね。