普段はあまり気にしない、クレジットカードの有効期限。そもそも何故、クレジットカードに有効期限が設定されているのでしょうか?
普段使っているときには気にされないクレジットカードの有効期限、実はカード会社にとっては非常に大事なものなのです。
- なぜクレジットカードに期限が設定されているのか
- なぜクレジットカード更新が拒否されてしまうのか
今回はこの二点について紹介します。
クレジットカードに有効期限が設定されている三つの理由
クレジットカード会員の信用情報の再審査
有効期限を設けている重要な理由のひとつが、更新のタイミングで行われる、クレジットカード会員に対する信用情報の再審査です。
クレジットカード加入時にカード会員の信用情報 (他社への支払い状況、勤務先・勤続年数、収入、持ち家有無など) が良くても、それがずっと続くとは限りません。社内異動や転職、場合によってはリストラや倒産といった収入が大きく増減してしまう出来事がカード会員に起きているかも知れません。
クレジットカード会社が知らぬ間に、他のクレジットカードやカードローンでリボ天井になっていたり、他社への返済を滞らせている事だって十分に有り得る話です。
こうした確認は一般的な途上与信の手順を踏んで行われます。
途上与信については本サイトでも何度か紹介したことがありますので読んで下さった方もいるかも知れません。
更新時の審査は「途上与信」
クレジットカード会員が入会した後もクレジットカード会社は不定期に個人信用情報機関で会員の情報を照会し、併せて自社の利用状況を確認します。この一連の確認は途上与信と呼ばれます。
- 他社への返済状況
- 他社からの借り入れ残高
- 自社の返済状況・利用額・借入残高
これらの情報から各社の基準に照らし合わせて、自社カード会員にふさわしいかが判断されます。
途上与信は一般的に5年に一度であるカード更新のタイミングで行われるだけではありません。楽天カードやアメックスなど一部のカード会社は会員にもよりますが3か月に一度や6カ月に一度前後の高頻度で途上与信を行い、自社会員にふさわしいか、与信額を増減させるかといった判断を行ってより柔軟で精密な顧客管理を行っています。
また、信用情報確認の一環というにはかなり基本的な事項の確認として住所確認の役割も果たしています。有効期限切れの前に新しいカードがクレジットカード会員の住所に送られますが、このときにカード会員が転居していた場合は送り返されてきますので、住所が正しいものであるかの確認も取ることが出来ます。
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不正使用防止技術・コンタクトレス決済技術の搭載
不正使用防止のためのICチップ搭載
2020年の東京オリンピックを意識して、2018年には割賦販売法が改正され、クレジットカードへのICチップ搭載が義務化されました。
一部のICチップ搭載が遅れていたクレジットカード会社も、カード更新のタイミングに合わせてICチップ入りのクレジットカードを自社会員に送付しています。
iD、QUICPayや国際ブランドのコントレス決済機能搭載
例えば三井住友VISAカードはカード更新に伴いVISAコンタクトレスの機能を搭載しています。
また、セゾンなどICチップ搭載が遅れていたカード会社もカード更新のタイミングでICチップ入りクレジットカードを会員に送付しています。
クレジットカード券面の劣化
ごく一部のクレジットカードを除いて基本的にクレジットカードはプラスチック製です。数年も使っているとプラスチックの劣化による券面の破損や、カード本体が破損する場合があります。
カード本体の破損によって磁気ストライプやICチップに格納された情報が読み取れなくなる場合があります。そうなると店頭決済に使ってもらえなくなるため、カード会社としても定期的に交換する必要に迫られるのです。
カード更新が拒否されてしまう5つの理由
利用実績が乏しい
クレジットカード会社はカード会員を維持するのにもかなりのコストをかけています。
- 会員情報・利用状況の管理
- 信用情報機関のデータ更新
- キャンペーン情報の送付
- コールセンターの人件費
- etc.
挙げればキリがありません。これらは皆、クレジットカード会員の決済手数料やカード年会費から賄わなければならないコストです。年会費が高額なカードならまだしも、年会費ゼロで全く自社カードを利用してくれない会員はカード会社にとっては負担でしかありません。まさにお荷物です。
そのため、利用が少ない会員は積極的に切り捨てる程ではありませんが、カードの有効期限切れに伴う更新のタイミングで「整理」されてしまう場合があります。
自社への支払い延滞、長期延滞
自社カード利用代金の支払い延滞が過去に何度もあったり、長期間支払いが行われていない「異動」があったりするとカード更新が行われないことが多いです。
個人間でも期限までに貸したお金を返してくれなかった人には再度貸したくありませんよね。営利企業であるクレジットカード会社であれば尚更です。
61日以上の延滞でいわゆる「異動」として扱われ得ますが、異動が付いてしまった会員は更新されることは稀です。
カード会員の年収や職業と言った属性、これまでの支払い実績などから勘案して、一度の短期延滞でも更新拒否の理由になる場合もあります。
基本的に支払い延滞はNG行為、きれいなクレヒスの大敵です。
他社からの借入れ残高が多すぎる
個人信用情報を見れば一発で分かるのですが、自社のみならず他社からのキャッシング残高やリボ残高が多いと、支払い能力を超えた借入れで何とか日々をしのいでいる、いわゆる自転車操業を疑われてしまうことがあります。
利用限度額の減枠やカード更新拒否 (実質的に強制解約に近い) となってしまう事があります。
他社への延滞や債務整理がバレる
これも信用情報を見れば一発でバレます。
(社名は見えませんが) 他社でいつ延滞を起こしたか、他社のリボ残高といった情報はクレジットカード会社には筒抜けです。
特に任意整理や自己破産といった金融事故を起こしてしまった場合は高リスク顧客として認識されてしまうため、リスク回避のためカード更新が行われないことの方が圧倒的に多いです。
年収ダウンなど属性の悪化
勤務先の倒産や失業といった年収大幅ダウンに代表される、カード会員の属性の大幅な悪化も支払い能力の低下と見なされますし、カード入会・継続審査の際のスコアリングでも減点されるため、カード更新拒否の理由になり得ます。
また、結婚して専業主婦・専業主夫になった場合でも配偶者の属性ベースで審査してもらえないカードの場合、更新が拒否されてしまうケースがありますのでご注意下さい。
一方、数十万円~百万円程度の年収ダウンではまずカード会社の審査基準を満たすことが多いでしょうし、支払い遅延を起こしていない限りは利用実績面での加点もあるため、あまり心配をする必要はないでしょう。
カード会社コールセンターへの暴言など迷惑行為
お客様は神様・・・なんてのは妄想でして。クレジットカード会社にももちろんお客を選ぶ権利はあります。
コールセンターやカードデスク、コンシェルジュに対してあまりに理不尽な要求を頻繁に行ったり暴言を吐いていたりすると、危険人物と見なされてカード更新拒否に遭ったり、有効期限内でも強制解約に至るケースもあります。
まとめ
今回は以下の二点についてのお話でした。
- なぜクレジットカードに期限が設定されているのか
- なぜクレジットカード更新が拒否されてしまうのか
以下の内容については別記事で解説したいと思います。
- 更新されるはずのクレジットカードが手元に届かない理由
- クレジットカード更新の際にやっておくべきこと
今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。皆様のクレジットカードライフに幸大からんことを!