消費増税ポイント還元を実施する決済事業者について、去る4月12日に経産省から続報が出てきました。以前のニュースでは14社しか名前があがっていませんでしたが、今回は一気に増えて116社にも達しています。
[消費増税ポイント還元] 決済サービス14社内定、今後も増加の見込み
来年10月の消費税増税による消費の冷え込みを抑止するための、「官製ポイント還元」ですが「協力事業者」として決済事業14社 ...
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これにはクレジットカードのイシュアやQRコード決済 (スマホ決済) 事業者以外にも、特定地域向け事業者やECサイト向けの事業者も含まれています。
また、それらの決済代理店とでも言うべき事業者も含まれています。例えば、綜合警備保障もLINE Pay対応の決済事業者として名を連ねていたりします。サービス販売の代理店みたいな位置付けと思えば良いでしょう。
「キャッシュレス・消費者還元事業」とは?
改めて、消費税増税による景気の冷え込みを抑制しつつキャッシュレス化の推進も狙う、経産省の方策について定義と特徴を見直してみます。
キャッシュレス・消費者還元事業は、2019年10月1日の消費税率引上げに伴い、
需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や
消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の9カ月間に限り、
中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援する事業です。引用元 : キャッシュレス・消費者還元事業 (経済産業省)
経産省の「キャッシュレス・消費者還元事業」のページにはこのように記載されています。
- 2019年10月からの9カ月間のみ
- 中小・小規模の加盟店のみが対象
クレジットカード・電子マネー・QRコード決済・スマホ決済に対応した端末を中小加盟店へバラまき、キャッシュレス化を促進しつつ消費税アップによる景気の冷え込みを一時的に抑えたいという目論見であるのは変わっていないようです。
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中小の加盟店にキャッシュレス決済が行き渡るのか?
加盟店向けのリーフレットを見ると、メリットばかりが強調されていてちょっとアレなんですが・・・。
- 端末代の負担なし
- 決済手数料3.25%以下 (実施期間中は3分の1を国が補助)
- ポイント還元で集客力アップ
- キャッシュレス化促進によるレジ締めなどの業務効率化
決済手数料がたいして抑えられてもおらず、本当に中小加盟店にキャッシュレス決済が行き渡るのでしょうか・・・。
「加盟店向け決済サービスのリスト」にクレジットカードやQRコード決済などのカテゴリごとに決済事業者がリストアップされています。
QRコード決済はLINE PayとPayPayが強気の設定
LINE PayとPayPayのみ、決済手数料 (2019/10~2020/6) の手数料を0.00%~3.25%としています。さすが体力のある大手がバックにおり、自分で手数料を決められるサービス事業者本体と言ったところでしょうか。
2020/10以降の手数料についてもPayPayのみこの手数料率を一定期間継続するとしています。ただしLINE Payは導入時手数料を完全無料として謳っており、これについてPayPayは有料としています。導入費用削減を取るか継続した手数料削減を取るか、加盟店からすると悩ましい話ですね。
また、PAYROUTEインターナショナルというLINE PAY, PayPay, 楽天Pay, VISAおよびMastercard対応の事業者も導入手数料無料としており、何気にダークホースかも知れません。クレジット決済まで対応可能なのは加盟店として美味しいはず。
また、楽天は楽天PayをQRコード決済サービスとして持ってきてはいますが、同時に各種国際ブランドのクレジットカードやEdy、iD、QUICPAY、交通系ICの電子マネー事業者としても登録されています。何より、楽天銀行を出金口座とした場合のみ、365日毎日売上金を振込みというのは銀行を持っているグループの強みです。小規模事業者であれば喉から手が出るほどありがたい話でしょう。
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クレジットカード事業者はセゾン、ジャックス、アメックス、楽天カード、三菱UFJニコス、三井住友トラストクラブ、UCカードが導入手数料無料
国際ブランド本体として、アメックスと三井住友トラストクラブ、VISAとMastercardのイシュアとしてセゾン、JACCS、三菱UFJニコス、楽天カード、UCが導入手数料完全無料を表明しています。
また、クレジット決済サービス事業者としてはリクルートライフスタイル、コイニ―、パーク24などが名を連ねていますが、リクルートとコイニ―は導入手数料完全無料を表明しています。
ちょっと面白いのが、楽天と楽天カードが別個の事業者として登録されている点でしょうか。同じグループ内でも顧客を奪い合うあたり流石というか。
2020年6月末以降、どの程度定着するのか
キャッシュレス・消費者還元事業は2020年6月30日を以て終了します。つまり肝心のオリンピック期間中は既に終了していることになります。
オリンピック開催地である東京やその近郊、キャッシュレスの需要が多い外国人観光客が多数押し寄せる地域はともかくとして、大都市でもなく観光資源もない地方に政府の補助金なしでキャッシュレスが根付くのでしょうか。
多くの参加事業者が導入手数料有料かつ決済手数料は3.24%以下となっています。地方の飲食店なんか売り上げを3.24%も持っていかれたら死活問題ですよ。入金だって月二回程度のところが多いですし。
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Coineyとか既存事業者をさっさと入れて、長期契約で決済手数料を下げてもらう交渉をする方がまだナンボかマシに見えてしまいます。決済手数料2.00%以下、導入手数料はすべて税金で賄う、といったインパクトのある見せ方で本気度を示した方が良い気がします。今のままだと、出来るだけ税金からの補助金は押さえたいです、というのが見え見えで加盟店になりたがる中小小売店や飲食店が増えないんじゃないでしょうか。
おわりに
今回は4/12に発表された、「キャッシュレス・消費者還元事業」、いわゆる消費増税ポイント還元の決済事業者116社の発表と、発表内容 (導入手数料・決済手数料等) に関する