今回は個人信用情報に、消えているはずの事故情報が残ったままになっている場合の対処方法について紹介します。個人信用情報を開示しようとしている方、特に過去に延滞や金融事故によって一時的に自分の信用情報に望まぬキズがついてしまったことのある方は必見です。
「成約残し」という言葉を聞いたことのある方も、本サイトの読者の方であれば多いかもしれません。今回は以下の内容についてお話します。クレジットカードの審査や、個人信用情報の管理について興味のある方は是非読んでみて下さい。
- 「成約残し」とはどんなものなのか?
- 「成約残し」があるとどんなデメリットがあるのか?
- 「成約残し」を抹消するための方法
「成約残し」とは?
信用情報が「ブラック」になる流れ
まず前提知識として、信用情報がブラックになってしまう一連の流れについて整理しておきましょう。
- クレジットカードやカードローンを使い過ぎ、月々の支払い額が増える
- 収入以上に月々の支払い額が増えてしまい、一部カードの支払いが滞る
- 長期 (61日以上) 延滞したカードについては、CICやJICCといった個人信用情報機関に「異動」が登録される
- 弁護士や司法書士に依頼して、任意整理または自己破産手続きを開始する
- クレジットカードやローン契約が軒並み強制解約となる
- 弁護士からの受任通知と同時にJICCに「債務整理」、CICの「法的手続」等の記録が追記される
- クレジットカード会社など金融機関によって「移管完了」、「法廷免責」の記録が登録され、「報告日」から5年後の日付が「保有期限」 (= 記録抹消予定日) として記載される
「異動」があれば長期延滞、「移管完了」や「法廷免責」があれば債務整理を行っていることが分かってしまいます。こうした情報が信用情報に載ったままであることが「ブラック」という事になります。
信用情報で押さえておくポイント
- 「異動」・・・ 61日以上の長期延滞があったことが分かる
- 「移管完了」・・・ クレジットカード利用代金 (債権) が第三者へ譲渡されたことが分かる
- 「法廷免責」・・・ 任意整理、自己破産などで債務免責を受けたことが分かる
- 「完了」・・・ 予定通り債務を全て支払いクレジット、ローン契約が完了していること
- 「債務整理」・・・ 任意整理や自己破産手続きを開始したことが分かる (JICCのみ)
成約残しとは、信用情報が更新されないこと
終了状況欄に「完了」、「移管完了」、「法廷免責」が記載されたら通常は「報告日」の5年後に「保有期限」つまりCICやJICCで記録を補完する最終日を設定するため、これらの信用情報からはその成約情報 (クレジットカードやカードローン利用履歴) は抹消されます。ブラック情報は5年で消えると言われている所以です。
しかし、これらの終了状況のステータス更新を行うのはクレジットカード会社や銀行と言った債務者側です。CICやJICCなど信用情報機関は情報の管理をするのみです。
ごく稀にですが、「法廷免責」が付いたまま「保有期限」が空欄のままだったり、そもそも「法廷免責」の記録すらなくカード会社側が毎月A (延滞) を何年も付け続けていたりということがあります。
こうなると本来消えていなければならない成約情報 (クレジットカード契約・ローン契約情報) が残り続けます。「成約残し」という言葉どおりです。
見た目上は今もずっと延滞を続けているブラックのままだったり、任意整理や自己破産した直後の状態に見えてしまいます。
「成約残し」による大きなデメリット。面倒でも必ず対処しましょう!
クレジットカード、各種ローンの審査通過が絶望的に不可能
クレジットカードやカードローンの申し込みはもちろん非常に厳しくなります。ほとんどのクレジットカードで審査通過は不可能と思った方が良いでしょう。
人間だれしも、過去に借金を踏み倒したり期日を過ぎてもなかなか返してくれなかった人にお金を貸すでしょうか。答えはNOです。特にクレジットカード会社をはじめ、事業として融資を行う立場であれば一番怖いのは貸倒です。過去に貸し倒れを起こした申込者は一律で審査を通さない場合が多いです。
また、住宅ローンや学資ローンなど各種ローンもまず審査に通らなくなります。人生設計が狂いかねないレベルの悪影響を及ぼす可能性がありますので、成約残しを見つけたら絶対に記録抹消に向けて動くべきです。
以下の情報をもとに、何とかして成約残しを抹消しましょう!
「成約残し」を抹消するための対処方法。難しくありません!
その1. 債務整理をしてもらった担当弁護士に依頼する
まず考えられるのは、債務整理をおこなったときに担当してもらった弁護士の方からクレジットカード会社へ連絡してもらうことです。
契約にもよりますが、追加費用が数万円~十数万円ぐらい発生する可能性があることは頭に入れておきましょう。
弁護士事務所へ出向いたり、必要な書類を郵送したりと手間がかかるやり方ではありますが、うまくいけば自分でこれ以上思い煩う必要もなく事が進みます。
その2. 他の弁護士や司法書士に依頼
これも似たようなもので、やはり初期費用と実費で十万全前後のお金がかかるものと思って良いでしょう。また、かかる手間やメリットについても「その1.」と同様です。
その3. 自分で成約残ししているクレジットカード会社に電話して信用情報の修正を依頼する
個人的にはこれが一番おススメです。上手くいけば、というより大抵は上手くいくものですが、迅速かつ安価に信用情報の修正を行えます。
そのとき間違っても怒り口調で電話しないようにしましょう。相手も人間です。「お前んとこの信用情報誤登録で迷惑してんだよこの野郎!」などと言おうもんなら、「報告日」をゴルァ電話を受けた日として登録されてしまっても文句は言えません。そうなると電話した日の5年後がブラック情報の抹消日になってしまいます。そもそも自分が長期延滞や金融事故を起こして相手に迷惑をかけた側であることは忘れるべきではないでしょう。
※ 実際はそういう嫌がらせをされたという事例はほとんど聞いたことありませんのでご安心ください。
礼儀正しく、丁寧に電話でお願いすれば通常は問題なく、長くてもひと月程度で信用情報の修正が行われるものと思います。流れとしては以下のとおりです。
- クレジットカード会社のお問合せ窓口へ連絡 (ネット検索で出てくる会員向けのもの等)
- 人間のオペレータにつないでもらう
- 自分が過去、金融事故を起こしてそのカード会社に迷惑をかけたことを軽く謝罪しつつ、信用情報が誤って登録されていて抹消されず困っていることを申し立てる
- 担当部署につないでもらう
- 担当部署にも軽く謝罪しつつ、丁寧に、信用情報の誤登録を修正してもらうよう依頼
注意
当方が直接聞いたことのある範囲では、すんなりといった事例しか知りませんが、あまりに悪質な延滞や支払い拒否などを過去に行っていた場合、もしかするとすんなりと行かずに電話口でもめるかもしれません。その場合は間に弁護士などを挟んで対応するのがベターでしょう。
以下の記事の実例では、一週間もかからなかったそうです。早すぎていつ修正されたのか分からなかったそうです。何しろ、修正は成約残しの削除とイコールなので消えてしまっていたらいつ頃修正されたのかが分からないですね。
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「成約残し」抹消後に向けてクレヒスを作っておこう
成約残しを無事に抹消しても、クレヒスが真っ白だったらクレジットカードや各種ローンの審査に通りにくいままです。出来るだけスマホ割賦購入などを活用して、最低限のクレヒスを作っておきましょう。
「成約残し」があっても審査に可決した事例のあるクレジットカード
ちなみに僅かですが、成約残し、つまり過去に金融事故や長期延滞の記録が見えてしまっても、現在の支払い能力が優れており、この人にならカード発行してもいいよ、として審査に通してくれる場合があります。
ライフカード有料版(Ch)は、審査が不安な方向けと謳っているだけあり、現在の支払い能力を重視する審査傾向の様です。実際に自己破産から5年たたずに審査に通過したという事例もあります。
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アメックスは現況、つまり現在の支払い能力を最も重視しており、過去のクレヒスにはあまり重きを置いた審査ではないようです。成約残しアリの状態での審査通過事例も豊富です。
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おわりに
今回は、「成約残し」というものが何を意味するのか、「成約残し」があるとどのようなデメリットがあるのか、「成約残し」を解消するための対処方法などについてお話しました。
今回も最後まで読み進めて下さりありがとうございました。