ふるさと納税は制度も簡略化され、以前から、東京23区など大都市は「返礼品」で納税者を集めるやり方には反対していました。しかしながら返礼品合戦が地方を中心に繰り広げられ、結果として大都市の税収が減少。いずれは大都市圏の行政サービスが低下するのではないか、と言われています。今回は「お金の知識」ということで住民税とふるさと納税をめぐる議論について、現状と課題点、大都市住民の視点を書いてみたいと思います。一個人には有難いサービスに見えますが、長い目で見ると都市住民が損をする制度なのかも知れません。
※イケハヤ氏風に言えばオピニオン記事、悪く言えば大都市住民による地方への誹謗中傷とも取られかねませんので、そこをご了承の上読み進めて下さい。
ふるさと納税が大都市の税収を直撃、大幅減収へ
本日3/24のライブドアニュースの記事から引用します。今年でふるさと納税制度がスタートして10年目を迎えるとのことで、節目に至って様々な課題が見えてきており、なかなかに深刻です。
- 各地の市町村が返礼品合戦を繰り広げている
- 制度の簡略化によってふるさと納税による納税額が急増
- 地方の市町村が潤い、大都市自治体の税収が減少している
2018年、ふるさと納税制度がスタートしてから10年目を迎えます。当初、ふるさと納税の額は微々たるものでしたが、各地の市町村が競うように豪華な返礼品を贈るようになり、また制度が簡略化されたことでふるさと納税額は急増。いまや、各地の市町村は肉や魚といった地元の特産品を全面に押し出し、返礼品合戦の様相を呈しています。
最近では、インターネットサイトで各自治体の返礼品を一覧で見られるようにもなり、まるでカタログギフトのような印象を抱かせます。過熱する返礼品合戦は、地方自治体関係者から“官製通販”と揶揄されることもありました。地方の市町村が豪華な返礼品で多額のふるさと納税を集める一方、東京や大阪といった大都市の自治体は減収というしわ寄せが起きています。
(略)
特に、ふるさと納税によって大幅に減収したのは、東京23区です。世田谷区では30億円8000万円、港区では23億5000万円、杉並区では13億9000万円といった具合に、多額の区民税収が2016年度に流出しています。
こうした事態を重く受け止め、2017年に総務省は豪華な返礼品を自粛するよう各自治体に通知しました。総務省の通知によって、いったん返礼品合戦は鳴りを潜めます。しかし、最近になって再び返礼品合戦が過熱する兆しが出てきています。
引用元 : Livedoor NEWS「豪華な返礼品」に異議も ふるさと納税で大都市にしわ寄せ
URL : http://news.livedoor.com/article/detail/14478370/
ふるさと納税の本質は、「都市部から地方への所得移転」に他ならない
ふるさと納税は、「応援したい自治体へ納税して地域の課題解決や活性化を図ろう」、とされています。しかし「応援したい自治体」へ納税するからには本来納税するべき自治体へ納税していては税金の二重取りになり、納税者はたまったものではありませんよね。かといって、単純に「うちへ納税してくれよ」と言われても「何でおたくへ納税せにゃならんのよ」となる方も多いでしょう。
ということで、納税の動機づけのため、納税者を釣るエサを用意します。いわゆる返礼品というやつです。
返礼品は各地方の名産品、その土地の観光クーポンなどなど、であれば分かります。家電製品…その地方で生産されたものであれば分かります。
だがしかし、何でダイソンとかブラウンとかルンバみたいな外資メーカーの家電が並んでるんだよ。
ふるさとも何もあったもんじゃない。とにかく楽して税収を引き上げたい自治体が制度を悪用している様にしか見えません。
【まとめ】ふるさと納税の現状
- 東京23区など都市部の税収が激減
- 返礼品は応援という建前を台無しにして、ふるさと納税動機づけのための撒き餌でしかなくなっている
- 返礼品には、自分の自治体に関係のない製品や、もはや日本製ですらない外資家電メーカーの製品が並んでいる
地方と都市部の収入や税収の格差
そもそもこの格差是正のために、地方交付税交付金というやつがあるわけですがね…。地方交付税交付金だけでは足らなかったという事なんでしょうか。きっとそうなんでしょうな。
しかし、世界史の教科書で出てきましたよね。集住。シノイキスモス。
何で集住して都市を形成するかまで明記している教科書って少ないですね。インフラ整備が安く済んだり人と物の行き来が楽になって経済が発展しやすいから僕ら都市部に集住してるんすよ。
「家は広くないとやだ」
「満員電車には乗りたくない」
「車があるから地下鉄なんて要らない」
「都会は息苦しい」
まあ分かりますよ。人口過密だとちょっと息苦しいし、満員電車なんて誰も好き好んで乗るものでもないですし。でも効率の悪い過疎地でインフラ整備して商売やっていくなら、人や物の行き来にコストかかったりして苦労するし収入も伸びないし、結果的に税収も伸びませんよ?集住してる都市部に収入で負けても文句言わんといてな。
乱暴に言えば過疎地ではインフラ整備にかかるコストが激増し、物流コストも高騰しやすいので集住して都市を形成した方が経済的にお得なわけです。
実際、山の中でも携帯電話のアンテナが敷設されてNTTドコモやau、ソフトバンクの携帯電話がつながったりしますが、あれもアンテナの直下まで光ファイバーが張り巡らされておりまして。過疎地のコストを都市住民の支払う毎月の利用料で補っているわけです。
そのため人口過密な都市と地方では必然的に経済格差が生まれます。
結果として、相対的に都市住民の方が多額のふるさと納税が可能になりやすいということになります。あくまで集団としてみた場合ですが。
【まとめ】地方と都市の格差の原因
- 集住して都市を形成すればインフラ整備コストや物流コストが安くなる
- 人口過密な都市は、人口が疎な地方より経済的に潤いやすい
- 集団としてみた場合、大都市圏の住民の方がふるさと納税額も多くなりやすい
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ふるさと納税の返礼品があなたの手元に届くまで
- 納税者がふるさと納税で地方自治体へ寄付
- 地方自治体が入金確認・希望返礼品を確認
- 地方自治体お抱え業者へ発注
- お抱え業者が返礼品仕入れ
- お抱え業者が言い値で地方自治体へ販売
- 地方自治体が納税者へ返礼品を送付
いやー、美味いっすなあ。地方の家電卸の業者さんなんかはノーリスクで転売事業ができるわけで。確実に儲かりますよね。
行政も行政で、例えば佐賀県の某町などは市場価格28,000円~31,000円程度のブラウンのシェーバーを18万円で納税者に販売しております。いったい利幅はいくらなんでしょうか。Amazonや楽天で買い付けた家電を横流しするだけでいいなら私も参入したいです。マジで。
ふるさと納税による表面上の税収、人件費等の追加支出および支出を差し引いた実収入を自治体ごとに統一された計算法で計算、結果を公表した上で、各自治体が使っている各お抱え業者からの税収がどれだけ増えたかを公表するべきじゃないでしょうか?自治体が委託している事業者による雇用がどれだけ増えたかも公表してほしいところですね。公表されてるのかもしれませんが、パッとググって出てくるところには見えません。
ついでにクレジットカードサイトとしては、クレジットカードで支払われたふるさと納税の手数料を最終的に誰が負担しているのかも気になります。自治体なのか?ふるさと納税サイト(という名の寡占アフィリエイトサイト)なのか?
これをきちんとやらないと、癒着や汚職の温床にもなるし、ただただ都市部の税収を地方に垂れ流すだけになります。
結果として、↑都市部で頑張って働いている人たちの税収が、↓ド田舎に吸い取られているわけです。
かなり悪意を持った書き方かも知れませんが、そもそも税収に不安のある自治体は地方交付税交付金を沢山もらってますよね。そのお金はどこから出てきているのでしょうか?日本国民から広く集めたお金を再分配しているわけです。それも、東京をはじめとした一部の黒字自治体は地方交付税交付金をもらっていません。大半が地方と関西の赤字自治体へ吸い取られています。それに加えてふるさと納税で税金を持っていかれてはたまったものではありませんね。
【まとめ】ふるさと納税の課題
- 実際にどれだけ税収増に寄与しているのか不透明
- 雇用の増加などの副次的効果も見えにくい
- 地方交付税交付金と二重取りでは?
東京23区、焼け石に水の対抗策(笑)
地方に“対抗策”打ち出す自治体も
(略)一方、東京23区は、過熱する返礼品合戦に参戦していません。東京23区は、“豪華な返礼品で、ふるさと納税を募る”ことには一貫して反対してきたからです。そのため、今でも、“豪華な返礼品”を用意していません。
しかし、税の流出額が増加したため、東京23区の中でも対抗策を打ち出す自治体が出てきています。文京区は、貧困家庭を支援する“こども宅食”事業を、世田谷区は“玉電の車両保存”という特定の政策に絞った“テーマ型ふるさと納税”を発表。これらは、返礼品に頼らない、ふるさと納税の新しい形というモデルを示しました。
こんな貧困なアイデア出してて給料もらえて終身雇用が保障されてて地方公務員っていいなーと思ったのは私だけでしょうか。
- 貧困家庭を支援する“こども宅食”事業 … 子供のいない人には何も嬉しくない。子供がいても自分の家のことで手一杯な人が多い。
- 玉電の車両保存 … 鉄っちゃんしか喜ばない
みんながもっと喜ぶ施策が必要ではないでしょうか?
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東京23区も返礼品合戦に参加するべき
この現状を鑑みると、最早合法化された税金の取り合い、ともすれば国内限定の経済戦争なわけです。
返礼品に釣られて本来の納税者が離れていったなら、東京23区も返礼品合戦にガチで参加して納税者を取り戻すべきです。ただし総取りはもちろん禁止で、あくまで取り過ぎない程度に、以前の税収に戻るぐらいまでにとどめて。口を開けて都市部からカネが降ってくるのを待っているだけの地方の自治体公務員など叩き潰せば宜しい(笑)。自助努力もせずに財源移譲とか笑わせるなっての。
この記事でいいたいことのひとつです。長い前振りでした。
… 真面目な話としては、競争によって税収がある程度左右されるというのも悪い事ではないだろうと。民間企業は競争しかしてません。そりゃもう年がら年中競争です。地方公務員同士も競争して自分たちの挙げた成果で給与が左右されるという境遇に身を晒すべきではないでしょうかね。赤字企業が他所からお金恵んでもらって従業員にボーナスを出すなんてことはありえないのに、なぜ自治体だけそれが許されるのか、という疑問を持つ人も多いと思います。
それが出来ないならば、ふるさと納税によって失われた分の税収を地方交付税交付金からしっかりいただくべき。東京都民は地方民に自分の生活レベルを下げてまで施しをしてやるために働いているわけではありません。ふるさと納税のみならず赤字路線(都市部の黒字路線収益の移転で保たれている)の廃線反対とか図々しいにも程がある。
【まとめ】短期的な解決案
- 東京23区も返礼品競争に参加して失った税収を取り戻す(取り過ぎぬ様に上限を決めて以前の税収回復を目的とする)
- 不可能な場合は地方交付税の交付団体(もらう側)になるべき
一個人から見たふるさと納税
ただでさえ団塊世代やバブル世代といった、今の社会人から見た親世代に比べて現役世代の給料が上がりにくく、税金だけは上がりやすいこの状況。ふるさと納税は天から降ってきた節税のチャンスです。制度として合法化されている以上は徹底的に100%活用していくべきです。
ただし東京23区の人は自分の住む町の行政サービス劣化の原因になるという事も頭に入れておくべきでしょう。
おわりに
今回は、ふるさと納税の現状と課題点として、ふるさと納税の煽りを食らった都市部の税収現象というお話でした。