2017年8月10日、唐突に三越伊勢丹でのTポイントサービスの終了が発表されました。サービス終了は2018年3月末頃を予定しています。2年ももたず、実に1年10か月の短命でした。やはり伊勢丹や三越といったともすれば高級な「百貨店」に庶民的なTポイントは似つかわしくないということなのでしょうか?
どうやら社長交代による経営方針の転換が影響していたようです。三越伊勢丹ホールディングスとしては、「エムアイカード」 (三越伊勢丹グループ各店で使うとポイント還元率が高い) による質の良い顧客の囲い込みをしたいのか、エムアイカードのラインナップにこれまでなかったプラチナカードを加えて、エムアイカードを推しまくっていく模様です。エムアイカードで貯まる、「エムアイポイント」を使える店舗もグループ外部に拡大していく予定とのことで、自グループを中核とするポイントエコシステムを自分で作っていくんだ!という方向に舵を切るようです。
三越伊勢丹のここ数年の動き
CCCとの提携 (2015年10月)
三越伊勢丹が似つかわしくもない「Tポイント」を導入したのが2016年5月25日、まだ記憶に新しい方も多いかも知れません。というか、知らなかった方も多数いるかも。全国の三越や伊勢丹で買い物をした際に、Tカードを出すとTポイントが付与されるのです。1ポイント=1円での利用も可能です(三越伊勢丹グループの各百貨店、三越・伊勢丹・丸井今井・岩田屋・JR京都伊勢丹など)。
三越伊勢丹は2015年10月にCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)と包括的提携について合意しました。これにより、日本各地の三越・伊勢丹・丸井今井・岩田屋およびJR京都伊勢丹といった各百貨店で、お買い物額200円ごとにTポイントを1ポイント付与、Tポイントを1ポイント1円で利用可能、というサービスが開始されることになりました。最大還元率0.5%ということになります。
ただしこの時点で、Tポイント付与・利用対象外の商品がいくつか提示されていました。
- 宝飾関連
- 美術関連
- 館内レストラン
高額な買い物をしてくれる層には元々Tポイントなんか要らないでしょ、ということなのか、それとも還元額が大き過ぎるため除外していたのか。一般的な価格からすると安くないレストランや、庶民が頻繁には立ち寄らないであろう宝飾品などは除外として、デパ地下の食料品やお惣菜などに買い物に現れる主婦層を中心に顧客を開拓したかったのでしょうか。
日本橋の三越本店に初めて行ってみた10年近く前、食料品売り場にいってみたところ、8割方は60代以上のそれなりにカネのありそうなご老人がた、残りは身なりの良い30代~で客層が占められており、まるで日本の縮図の様な客層であると感じたのを鮮明に記憶しています。その頃と比べたら方針の大転換かも知れない、とTポイント導入を知った時には思ったものでしたが…。
因みにライバルの高島屋は2016年4月頃にdポイントの採用を発表していました。
大阪での敗北 (2015年前半)
2011年にJR大阪三越伊勢丹、として伊勢丹は関西へ打って出たわけですが惨敗。阪急梅田本店という百貨店の西の帝王には歯が立たず、わずか4年後の2015年4月に閉店に追い込まれています。その後、「ルクアイーレ」(JR西日本SC開発とJR西日本伊勢丹の共同運営による駅ビル) として生まれ変わってしまうという屈辱を味わいました。
関東では三越銀座店、日本橋本店および伊勢丹新宿店は好調をキープしているだけに大きな落差です。
(ちなみに「三越前」なんて一企業の名前が公共交通機関の駅名に使われているのって三越だけなんですよ)
スポンサーリンク
郊外型店舗閉店が再開していたが…
三越伊勢丹の場合、これまで不振店舗でも省コスト運営を徹底して営業を継続させる方針を取ってきた。2008年に三越と伊勢丹が統合して以降、2009~2011年に三越6店、伊勢丹1店を閉鎖したが、それ以後は2014年にJR大阪三越伊勢丹を閉鎖したのみ。
だが、郊外店の不振をカバーしてきた伊勢丹新宿店、三越銀座店といった都心旗艦店での業績がここにきて悪化している。2015年度に活況を呈したインバウンド消費が急激に落ちこんでいることが大きいが、主力の衣料品の不振が深刻化していることも原因だ。こうした状況を受けて、従来の方針を変更せざるを得ない状況になったというわけだ。
(略)
三越伊勢丹ホールディングスでは、2016年度第1四半期(4〜6月)決算で純利益が前年同期比44%減と、急激な業績悪化に見舞われている。閉店も決まる中、社内では経営陣の間に動揺する動きがみられる。さらに、業績改善に向けて、販売員の業績連動報酬やPB商品の拡充など、さまざまな改革案を繰り出す大西洋社長に、社員が温度差を感じている現状もある。
ポスト大西体制も視野に、大西社長の求心力が今こそ問われている。
東洋経済ONLINEより引用 (http://toyokeizai.net/articles/-/134896?page=3)
この記事の後、2017年3月で、三越多摩センター店、三越千葉店が閉店しています。これで郊外型店舗のリストラが再開されるのかなと思っていましたが、この2017年3月で唐突に社長が交代しています。
エムアイカード推しへの方針転換
突然の社長交代劇でかなりゴタゴタあったみたいですが、それが落ち着いたところで突然のTポイント切り捨て。新社長体制での改革第一弾ということでしょうか。少なくともTポイントとの提携は経営改善にあまり役に立っていなかったと判断されたということでしょう。
他社のポイントエコシステムを間借りして莫大な手数料を支払うより、自社でそれを構築してクレジットカードを中心とした(少なくともクレジットカード発行可能な)質の良い顧客を囲い込んでいこうということでしょうか。
ともあれ、三越伊勢丹の今後の動向が注目されるところです。dポイントを採用した高島屋、楽天ポイントを採用した大丸。Amazonを筆頭とするネット通販にも押されまくり、若年層の消費が冷え込み続けておりシニア頼みの中、最後に笑うのはどこなのか。
スポンサーリンク
エムアイカードのメリットは超のつく高還元率
何といっても三越伊勢丹グループでの買い物での超高還元でしょう。最低5%~最大10%ものポイント還元を受けられます。
店名 | 還元率 | 備考 |
三越(国内) | 5%/8%/10% | 年間の買い物額に応じた還元率 |
伊勢丹(国内) | ||
岩田屋 | ||
丸井今井 | ||
三越伊勢丹通信販売 | 5%(固定) | 食品宅配(エムアイデリ)対象外 |
※ゴールドカードは7% | ||
(食品は5%) | ||
三越伊勢丹オンラインストア | 5%/8%/10% | 年間の買い物額に応じた還元率 |
岩田屋ネットストア | 5%/8%/10% | |
丸井今井ウェブショップ | 5%/8%/10% | |
ローマ三越、上海三越 | 5%または10% | 店舗による |
新光三越 | カード提示・現金決済で0%~10% | |
上記以外の三越海外店(オーランド三越)、伊勢丹海外店 | 優待対象外 | - |
しかし何でも5~10%還元が受けられるかというとそうでもなく、いくつかの除外品があります(※.1)。
- 1品3,000円未満
- セール品
- 食料品・飲食代
- 写真室・美容室・エステ
- 送料・衣料品仕立て代金・修理代など
- 一部海外ブランド商品(※.2)
- ゲーム機
- 三越伊勢丹旅行
- ギフト券
※.1 ポイント還元されませんが、年間の買い物額には加算される
※.2 ブルガリ、カルティエ、ティファニー、シャネル、ルイヴィトン、エルメスなどの高級ブランド品中心
ただしこの除外品を除いても、ちょっとした買い物で最低5%の還元が受けられるのは、ゼロ金利の時代を考えればありえないレベルの還元率。そこまでして囲い込みたいのか、そもそもの利益率がどれだけ高いんだと…。
また、スーパーのクイーンズ伊勢丹でも2%と他のカードより高い還元率で、JALマイルやANAマイルと交換できるようになったことで、マイラーの皆様にとってもメリットが非常に大きいカードです。
さらに、「つながります」という家族登録設定をすると、家族カード間ではない、別契約でクレジットカードを個々に持っている家族間だろうが優待率を共有できます。他のクレジットカードにはない、とてもありがたい機能なので、三越や伊勢丹系列によく買い物に行かれるご家族は皆でエムアイカードを持つのもアリでしょう。
エムアイカード発行で換金可能なポイントをもらう
ポイントサイトのハピタスを経由してエムアイカードを発行すると、エムアイカードで1,000円決済した時点で800円分のポイントバック対象になります。この機会にぜひどうぞ。