今回は国内唯一のVISAカード最高グレード「VISA Infiniteカード」である、「SURUGA VISA Infinite (インフィニット)」についての紹介と審査難易度の行く末についての記事です。国内で唯一、VISAの最高グレードのクレジットカードをひっそりと発行してきたスルガ銀行。スマートデイズと共謀してノルマ達成のための不正融資が社内で横行していたことが明るみに出てしまい、銀行としてのブランド価値も失墜した感があります。そんなスルガ銀行の発行するSURUGA VISA Infiniteカードのグレード、付帯特典や今後の審査方針の行く末について語ってみたいと思います。
本記事のポイント
- 国内唯一、VISAブラックカードのSURUGA VISA Infinite (インフィニット) とは
- SURUGA VISAインフィニットを持っているとどんないいことがあるの?
- どうすればSURUGA VISAインフィニットを持てるようになるの?
- SURUGA VISAインフィニットの審査はどれぐらい厳しいの?
- アメックスセンチュリオンをはじめとする他国際ブランドのブラックカードと比べて、なぜマイナーなのか。
- SURUGA VISAインフィニット、今後の行く末
SURUGA VISAクレジットはスルガ銀行が発行する、自己申し込み可能なクレジットカードです。しかしSURUGA VISA Infinite (インフィニット) はインビテーションを受け取った人やスルガ銀行から紹介された方のみが入会可能ないわゆる招待制をとっており、その詳細についても情報が多くは出回っていません。入会経路や審査に関しても本記事で解説しております。
国内唯一のVISA Infiniteカード、SURUGA VISA Infinite (インフィニット) カードとは?
SURUGA VISAインフィニットはスルガ銀行における優待が非常に充実した、VISAカード最高グレードのInfinite(インフィニット)カードです。MastercardやJCBなど他の国際ブランド同様に、付帯特典も充実していますが、とくにこのSURUGA VISAインフィニットにおいてはスルガ銀行に預金口座を持つ方の金利優遇やキャッシュバックに重きが置かれています。
また、SURUGA VISAインフィニットはリボ専用カードです。最高グレードだろうがリボ専カード。これまでの価値観をちょっと揺るがしてくれたりもします。
SURUGA VISAインフィニットの大いなるベネフィット
プレミアムキャッシュバック
こちらは住宅ローン等の有担保ローン契約中、もしくは預金・投信・国債/公債・外貨預金残高が合計で1,000万円以上あるかた向けです。
スルガ銀行住宅ローン借入者向け、「プレミアム返済アシスト」
住宅ローンをスルガ銀行で組んだ人にとって一番価値が大きいのがこのサービス。カード決済額の1.8%分のポイントがたまり、住宅ローン返済分(月額支払い分の内、元本に相当する分)のポイントが貯まればそれを使用して自動的にその月の住宅ローン支払いを行ってくれます。元本相当のポイントが貯まれば金利まで含めてその月のローンを支払ってくれます。
例) 月々の返済額が8万円として、内5万円が元本の場合、5万ポイントを貯めればいいので、278万円程度の決済で5万ポイントが貯まります。その5万ポイントが8万円に化けます。つまり実質の還元率はこの場合2.88%です。
毎月の支払額に占める元本の割合が小さいほどお得なシステムで、最大ポイント還元率は軽く5%を超えていきます。
住宅ローン返済完了した人向け、「プレミアムトラベルアシスト」
こちらは預金や金融商品が1,000万円以上スルガ銀行口座にある人向けです。
SURUGA VISAインフィニットカードで決済した金額の1.5%がポイントとして還元されます。年間500万円程度の利用でも75,000円相当のポイントバックを受けられます。
金利優遇との合わせ技で高額の預金口座を持った方であれば実質の年会費はタダ同然と思われます。
スルガ銀行預金金利の超優遇
プレミアム定期預金は金利+0.2%
SURUGA VISAインフィニットカードホルダーに対して、店頭の金利+0.2%の優遇金利が適用されます。
スルガ銀行がターゲットとする、数千万円以上の預金口座をスルガ銀行に持つ方には特に有利です。
例) 5,000万円の定期預金の場合、5,000万円 x 0.2% = 10万円がこの特典で得られる金額になります。
税金を考慮しても8,000万円程度 (+16万円 x 80%程度が税引き後の手取りになるため) の定期預金があれば年会費をペイできる計算になりますね。
プレミアム普通預金は金利0.1%
いつでも口座のお金を引き出せる普通預金でさえも+0.1%。この超低金利時代としては非常に貴重なサービスでしょう。
その他のサービス
- 投資信託購入手数料の優遇
- プレミアムICキャッシュカード(VISAデビット機能付き)の無料発行
- プレミアムデスク
- プレミアムサロン
- 美術館特別優待
- レストラン優待
- フラワーギフトサービス(年1回)
- 空港ラウンジサービス
などなど、スルガ銀行に特化したサービスが多数あります。
また、プライオリティパスはプレステージ(世界中の空港ラウンジ無制限利用可)を家族分無料発行 & 同伴者4名まで無料です。
VISA Infiniteとしてのベネフィット
もちろんスルガ銀行に預金口座を持つ人以外にも利益の大きい、本来のVISA最高グレードカードとしての特典も満載です。
- 24時間365日のコンシェルジュサービス
- 旅行保険 (海外・国内ともに自動付帯)
- 提携ブランドショップでの貸切ショッピングサービス (来店時のドリンクサービスなども)
- ホテルの自動アップグレード、アーリーチェックイン、レイトチェックアウト等
- その他VISAプラチナサービス全般を合わせて利用可能
- etc.
コンシェルジュサービス
カード会社のサービスではなく、VICC (VISA Infinite コンシェルジュサービス) が提供するサービスで、通話料無料で利用可能です。
また、アメリカなどVISA Signature Luxury Hotel and Resortの予約を使うことでアメックスより一部安くホテルを予約・利用可能です。自動アップグレードやレイトチェックアウトのサービスも付帯します。Signature Diningも利用できる場合は現地でのコンシェルジュも使えます。
VISAグローバル・カスタマー・アシスタンス・サービス (GCAS)
コレクトコールでどこからでも利用可能です。国内・海外でのクレジットカード紛失・盗難・不正利用の際に頼りになるサービスです。海外旅行・出張の際にはぜひ出発前に滞在地域のGCASフリーダイヤルのメモを作っておきましょう!
トラベル&エンターテインメント系サービスも充実
VISA Infiniteエクスペリエンス
Infiniteな体験としてプライベートジェット、ヘリコプター、クルーズ、高級車レンタカーのチャーターサービスを取り揃えています。
VISA Infiniteトラベル
島一つ丸ごと貸切りも可能!
VISA Infinite空港宅配
手荷物2個まで自宅~空港間の宅配を無料で往復宅配してくれます。
VISA Infiniteのベネフィットについては書ききれないぐらいの情報があるため、この辺りで割愛したいと思います。
SURUGA VISAインフィニットに入会するには
SURUGA VISAクレジットカードでのクレヒスを積む、と考えるのが通常のクレジットカードランクアップの常道ですが、SURUGA VISAゴールドやプラチナからのアップグレードを経てInfiniteに入会したという方の情報が全然ありません。
しかしスルガ銀行で住宅ローンを組んだり、高額の預金をしていたりすると営業担当者からSURUGA VISA Infiniteインフィニットカードの紹介を受ける機会があります。
スルガ銀行の預金口座に1,000万円単位の預金をする
預金口座残高が高額な場合、住宅ローンのお誘いなどの勧誘が来ます。その際に住宅ローン担当営業から紹介してもらえるケースがあります。
スルガ銀行で住宅ローンを組む
投資用マンション・アパートの購入費用として数千万円以上の住宅ローンを組むと、担当営業からSURUGA VISAインフィニットカードの紹介を受けて入会可能なケースがあるようです。
ホルダーからの紹介
ホルダーからの紹介でもSURUGA VISAインフィニットへの入会が可能です。
SURUGA VISA Infinite (インフィニット) の審査について
通常のクレジットカードを★1~★5で評価する場合、SURUGA VISA Infinite (インフィニット)は★7の超級カードでした。因みにアメックスセンチュリオンが★10です。
さて、本来であれば高額な住宅ローンを組んだりする場合、それなりに厳しい審査が入ります。本来あるべき基準の審査をクリアして数千万~数億円の与信を受けられる方に対しての紹介であれば、SURUGA VISAインフィニットはやはり高属性でないと発行されないカードであると言えるのですが、ここで件の不正融資が問題になります。預金残高を改竄して本来審査に通過しない人が審査に通っています。
そして、「住宅ローン担当者」がInfiniteカードを紹介していたということが疑問を呼びます。
営業を仕事としてやったことのある人なら分かると思いますが、営業は自分の業績としてカウントされる商品・サービスや、今後の自分のスコアを間接的に伸ばしてくれる商品・サービスは積極的に紹介します。裏を返せば、自分のスコアにならないものまでいちいち積極的に紹介しません。
不正融資を受けていた、本来なら到底ローン審査に通らない低い属性の方にもInfiniteカードが紹介されていた可能性や、従来より緩い基準で審査が行われていた可能性があるんじゃないでしょうか?
あくまで当サイトにおける筆者の憶測の域を出ない、ということをここに明記しておきます。
しかし住宅ローン融資審査通過率が99%前後だったりする異常な状況を考慮すると、クレジットカードの審査だけが適切に行われていたとは断言しづらいところです。
そもそもなぜマイナーなブラックカードだったのか
元々スルガ銀行はあまりクレジットカード事業の拡大には力を注いでいなかったようです。また、SURUGA VISAインフィニットカードもスルガ銀行で住宅ローンを組んだり、1000万円単位の高額預金をしている顧客にのみ紹介する方針を取っていました。そのためSURUGA VISA Infinite(インフィニット)は知る人ぞ知るVISAブランドのブラックカードでした。
実際に、スルガ銀行のクレジットカード事業は2015年度を境にしてマイナス成長へと転じています。元々あまりやる気がなかったのか、高収益の不動産投資への融資事業へと偏り過ぎてしまったのかはさておき、2015年度から会員の漸減が続いています。
実際のクレジットカード会員数の推移を見ていきます。
SURUGA VISAクレジットカードの会員数の増減推移と、そこから読み取れる内容
まず2011年度から2013年度までの情報から何が読み取れるでしょうか。
「VISAカード増加件数」がスルガ銀行発行のクレジットカード会員の増減を示しています。2011年度から2013年度はかなりプラス成長が続いています。年間1万人前後のクレジットカード会員の純増が続いていました。とは言え、一度も100%達成率がなかったことから目標設定にかなり無理があったのか、それとも審査がまともに行われていたか、はたまた担当部門自体にやる気もなければ目標未達の責任を問われにくい部門だったのか。儲からないから放置されていたのか。これは「個人預り資産純増額」にも同じ傾向が読み取れます。
一方で、リーマンショックの傷がまだ癒えていないころからカードローン事業に邁進していたことも読み取れますね。異常に高い達成率が気になります。通常はクレジットカード事業よりもカードローンの方が厳しめの審査となって良いかと思いますが、総量規制対象外の銀行系カードローンが美味しいというところに目を付けてとにかく勧誘しまくって審査もバンバン通していたのだろうという様に見えてしまいますね。
続いて2014年度~2015年度。
VISAカード増加件数が激減しています。というか、何故年度によって比較項目が変わっていくのでしょうか。同じ項目のはずの「VISAカード増加件数」も2015年度は「VISA増加件数」に名前が変わってるし。社内でまともなレビューをしているのでしょうか。一応これオフィシャルな報告書ですよね。中国企業でももう少しましな報告書の体裁してるかも知れないのに。ともあれ2014年は大半の項目が目標未達の苦しい年の様でした。クレジットカード会員なんて目標達成率3%台です。
そして2015年度から突如として、「住宅ローン純増額」の項目が登場。いきなり200億円の目標に対してダブルスコアに近い398億円、199%という達成率。期待の大型新人です。これはウマいと味を占めたのは想像に難くありません。クレジットカード事業なんてもうどうでも良さそうです。-9.4%、マイナスに転じました。
そして2016年度~2017年度。
2016年度、暴走は止まらず「住宅ローン純増額」は499%というすさまじい達成率を見せました。「VISA増加件数」なんて項目は最早誰も気にしなかったみたいでマイナスのまま放置されています。とにかく不動産投資関連の「住宅ローン純増額」の項目が見た目成長してればそれで良かった、と。しかし、よくもこれだけ短期間で主要な収入源の大項目が入れ替わるものですねえ…
ふと疑問に思ったのですが、「故人の創業家出身の元副社長」か何かがこれまでの不正融資の土台を作った、という風なことを言っていませんでしたっけ。2016年からの住宅ローン成長率を見るとその故人がいなくなってから暴走に歯止めがかからなくなった様にしか見えないんですが。死人に口なしってやつですかね。汚いなさすがスルガきたない。
その背景には、昨今ニュースで取り沙汰されているきついノルマへのプレッシャー、パワハラが横行する企業体質があったのでしょう。パワハラから逃れるべく個々の従業員が、内心疑問を抱きつつも、「顧客や自社に損害を与えることになっても上層部も容認している不正融資で乗り切ってしまえ」、と思わざるを得ないほどに。疑問や異論を呈しようものなら即不利益を被るような環境だったのは想像に難くありませんね。旧日本軍みたいですね。月月火水木金金。
SURUGA VISA Infiniteの行く末
あまり明るいようには思えません。
今後、スルガ銀行が不正融資の件で立ち直るためにクレジットカード事業に力を入れざるを得なくなった場合、今のままの年会費で全サービスを維持可能か、と考えると疑問符を付けざるを得ません。
サービスの一部改悪や年会費の上昇の可能性も視野に入れておくべきでしょう。
また、年会費収入を得るため、インビテーションを送る人の候補の選定方法を大きく変えてくる可能性もあります。その結果として、ブランド価値の下落や国内唯一のVISA Infiniteという価値そのものも下がる可能性があります。
三井住友カードや三菱UFJニコスがVISA Infinite出してくれればいいんですが。前者はともかく後者はアメックスとガッチリ握ってるし期待できませんね。
ということで、国内VISAの雄、三井住友カードさんにVISA Infiniteカード発行を強く期待します。
おわりに
今回は、SURUGA VISA Infinite (インフィニット) カードの紹介、入会経路やその審査についての紹介でした。昨今の不祥事のため、どうしても否定的な見解にならざるを得ませんでした。不快に思われた方がおりましたらご容赦ください。
最後まで読み進めていただきありがとうございました。