19年5月17日に発表されましたが、ダイナースクラブプレミアムカードがとうとうポイント還元率2.00%という聖域に手を付けてきました。ANAダイナースプレミアムの還元率改悪が昨年12月に行われたため、次は本丸のプレミアムカードの番か、と言われて数カ月が経ちましたがついにXデーが発表されました。’19年9月16日からはポイント還元率1.50%です。
今回はダイナースクラブプレミアムカード、ANAダイナースプレミアムカードのポイント還元率改悪 (2.00% → 1.50%) と併せて、三井住友トラストクラブによるダイナースブランド立て直しの一連の施策についてまとめて説明します。
また、その「立て直しの施策」が果たしてダイナースプレミアムカードの会員が求める方向性と合っているのかという点についても個人的な意見を書きたいと思います。
ダイナースクラブプレミアムカード、改悪の歴史
いやはや調べてみるとこれは酷い。ここまでやられては流石に会員減少が起きないわけがないといったレベルです。一部改悪は公式サイトでひっそり発表されただけでメールなどでの通知が会員に行われないままの改悪だった様です。税込み年会費14万円を支払ってくれる上客に対してそれはまずいんじゃないでしょうか・・・。
- 2015年10月 : 提携航空会社・ホテルの削減
- 2016年02月 : マイル移行上限設定
- 2016年08月 : Yahoo!公金支払い、電気代支払いの還元率を0.50%に引き下げ (100円=0.5ポイント)
- 2017年05月 : ポイントモールの還元率を引き下げ (100円単位 → 5,000円単位)
- 2017年09月 : ガス代、水道代、税金、NHK受信料、国民年金保険も還元率0.50% (100円=0.5ポイント) へ引き下げ
- 2017年12月 : 銀座ダイナースラウンジの同伴一名無料を廃止
- 2018年07月 : リボ払いでの+1ポイント/100円の追加ポイント付与を廃止
- 2018年12月 : ANAダイナースプレミアムカード、100円2ポイント→1.5ポイントへ改悪
- 2018年12月 : 総合病院、有料道路、ETC利用料、保険料金、プロバイダ利用料、携帯・スマホ利用料、有料放送サービスのポイント還元率を0.50%に引き下げ (100円=0.5ポイント)
- 2019年09月 : ダイナースプレミアムカード、100円2ポイント→1.5ポイントへ改悪 (New!)
ここ4年ほどでもかなりポイント還元率が悪くなっています。それ以前に月額利用料総額÷100のポイント付与から、決済ごとに100円/1ポイント (端数切捨て) にもしてましたが。
三井住友トラストクラブのシステムにダイナースを合わせこむために仕方なかったんだ!というのがダイナースクラブ側の言い分ではあるのですが、端数切捨てってポイント還元率にけっこうな悪影響が及びますので、会員としては良い気持ちにはなりませんよね。
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仕切り直しの減損処理
上で説明したポイント還元率やベネフィット削減を繰り返し経費を圧縮しても振るわなかった様で、三井住友トラストクラブはついに大ナタを振るい、いったん損金としてダイナース事業ののれん代償却を進めてしまう決意をしました。
三井住友トラスト・ホールディングスは14日、2019年3月期連結決算で「ダイナース」ブランドのカード会社について約120億円を減損処理する方針を決めた。15年にすべての株式を取得したが、会員数の伸び悩みで業績が振るわないため。連結納税制度の導入で税負担が軽くなり、純利益は1750億円としていた従来予想の範囲に収まりそうだ。
せっかくシティから400億も出して買収したダイナースクラブ事業ですが、目論んでいた三井住友信託銀行への送客も進まず、経費ばかりかかって会員は増えず、利益もしょぼしょぼだった様です。心機一転の一括償却で仕切り直しを図るということですね。
しかしダイナースプレミアムの元々の客層が何を求めているのか、という点についてまるで研究が足りていなかったんじゃないでしょうか。
自社ブランドを活かせるか?TRUST CLUBカードとの大胆なコラボ
ANAマイルへの交換を抑制して経費を抑えてきたものの会員離れも想定外に進み、どげんかせんといかんとでも思ったのか、三井住友トラストクラブは次の手としてTRUST CLUBカードとの提携による、ダイナースクラブ会員向けの無料サブカードを発表。ダイナースクラブコンパニオンカードの登場です。
ダイナースプレミアム会員ならMastercardのワールドエリートカードが無料で持てます!最上級グレードのブラックカードですよ!しかもワールドエリートの年会費13万円が無料に!!
・・・というもの。お得かも知れませんが突っ込みどころも多い。
サブカードのTRUST CLUBワールドエリートがインパクトに欠ける
年会費13万円(税抜き)のTRUST CLUBワールドエリートカード。確かに最上級グレードのMastercardなのですが、年会費13万円にしてはインパクトにやや欠けます。
LUXURY CARDは同格のワールドエリートカードながら年会費5万・10万・20万のラインナップでステンレス製のメタルカード。年会費20万円のGOLD CARDは24金張りの金ピカです。ベネフィットもそう変わりません。それと比較するとあまりワクワクを感じない人が多いかも知れません。
また、’18年にメタルカード化を発表したライバルのアメックスプラチナにもパッと見の魅力で劣ると言わざるを得ません。
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ステータス面でイマイチに思う人もいるかも
・・・ってブラックカード級とは言えMastercardかよ、と思う方もいるかも知れません。クレジットカードマニアな方ならご存じのとおり、最上級グレードとは言え自己申し込み可能なマスターカード。
ステータスという面では思い切ってTRUST CLUB最上位としてインビ限定のVISA Infiniteなどを新規発行するうえで、ダイナースプレミアムのサブカードにVISA Signatureカードを付けるとかもう一つ工夫が欲しかったと思う気持ちもあります。
安易に最高グレードの発行を許可するマスターカードと組むあたり、本気度が足らない様にも見えます。VISAとの提携に失敗したのかも知れませんがね・・・。
コスパ (費用対効果) に厳しいお金持ちに響くのか?
さて、ダイナースプレミアムカードの様な年会費が10万円を超えるようなクレジットカードを長期間維持できる顧客はやはりお金持ちです。最低でも年収1,000万円はないと何年も税込み年会費14万円も払い続ける気にはならないでしょう。恐らく年収1,000万円程度ではダイナースプレミアムの特典を使い倒すことも難しいです。そして、もっとお金のある人ほど節約家やコスパに優れないものを嫌う人も多く存在します。
年会費をそれだけ払っても持つ価値がある、と会員に思わせる必要があり、その象徴がこれまでの100円=2マイルという群を抜いたANAマイル還元率でした。しかしマイル還元率という面では年会費8万円のANA VISA プレミアムカードと同等のところまで落ちてきています。明確に優っているのはポイント有効期限が無期限である点のみです (ANA VISAプレミアムはポイント有効期限4年)。
ポイントが無期限であるという点に5万円の差の価値を感じる方は流石に多くないと感じたのか、テコ入れを始めており、その一環としてのMastercardワールドエリートなのでしょうが、果たしてどこまで既存会員へ訴求できるでしょうか。
おわりに
今回はダイナースクラブプレミアムカードの更なるポイント還元率引き下げ (2.00%→1.50%)、ポイント還元率やベネフィット改悪のサマリー、三井住友トラストクラブによる立て直し施策の一環としてのダイナースブランド減損処理、コンパニオンカードの訴求力についてのお話でした。
最後まで読み進めていただきありがとうございました。
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