クレジットカード申込み時に必ず記載を要求される項目、「年収」。これが大きければ大きいほど審査には好影響…と思われていますが、実はそこまで大きな影響はないということはご存知でしょうか。もちろん全く影響がないというわけではないのですが、巷で言われているような、「年収800万以上なら絶対審査に通る!」などということはありません。今回は実際のクレジットカード審査でどんな風に年収欄が扱われているか、ということについて書いていこうと思います。
クレジットカードの審査の流れについて、もっと知りたい方は以下の記事を参照して下さい。
クレジットカード審査の流れを理解しよう
今回の記事では、クレジットカードの審査について、流れを簡単に紹介します。 本記事でカード申込み~発行の流れを理解していた ...
クレジットカード審査における「年収」の影響度
年収欄の記載内容はあくまで「自己申告」でしかない
年収欄は自己申告の数値を記載するので、極端な話いくらでも嘘を書けます。年収400万円のサラリーマンが見栄を張って、「年収800万円」と書いたところでクレジットカード会社には申込者の年収を直接的に確認する術はありません。申込者の勤務先企業に対して、「ウチのカードに申し込んできた○○氏の年収を教えてくれませんか?」なんてのを一件ずつやっている余裕もありません。仮にそれで勤務先から回答を得られてもそれはそれで、「個人情報保護法」の観点から深刻な問題にもなります。
ということで、審査において言い値でしかない年収欄の記載内容を重点要素として取り扱うことは難しいでしょう。加点要素としてそこまで大きな比率にもなり得ません。
勤務先・勤続年数から年収を推測している
クレジットカード会社は申込者のスコアリングを可能な限り正確に行う必要があるため、別の手段で申込者の申告してきた年収の妥当性を探ります。とはいえ、カード発行会社が全く年収が予測できないのかといえばそんなことはありません。各社自前の審査用データベースとして、そういった情報を扱う企業から企業別、業種別や職種別の年齢別年収データを購入したりします。自社顧客のデータを統計処理してデータベースに組み入れたりもします。
そして、申込者の勤務先、勤続年数、年齢から申告された年収が妥当かどうかを検討します(現在はこの作業の大半はシステムが自動的に行ってくれます。審査が即完了するのはこうしたシステムのおかげです。)。
- 申込者Aさん … 30歳、広告代理店の電通で勤続6年、営業職 → 自己申告の年収1,000万円は恐らく本当だ。限度額も多めにして通す。
- 申込者Bさん … 35歳、地方自治体職員、勤続6年、行政職 → 自己申告の年収800万円はちょっと多すぎに見える。でも公務員だから多少限度額少な目で通すか。
- 申込者Cさん … 35歳、自営業(フリーランスのカメラマン) → 自己申告の年収700万円…これ収入を証明できる書類出してもらわないと分からないよ?
- 申込者Dさん … 40歳、外資系企業、勤続1年未満 → 自己申告の年収1800万 … 解雇リスクの高い企業らしいし、年収1800万も自己申告の見込み年収だ。スコアは高くできないな。
- 申込者Eさん … 45歳、大学病院の勤務医、勤続15年 → 自己申告の年収2,500万 … 職業と勤務先からも妥当な年収。勤続年数も申し分ない。最高額で通す!
こんな感じです。
カード会社が重視するのは勤務先や勤続年数!
上の例から、たとえ年収が高めでもCさんやDさんは審査を通してもらえるか分かりませんよね?クレディセゾンなど一部のクレジットカード会社は勤務先に電話をかけて、「申告してきた勤務先が本当に正しい情報か」を知るために在籍確認を行ったりもします。勤務先の情報が万が一虚偽であった場合、勤務先と勤続年数から想定している年収の妥当性の前提が崩れてしまうためです。
クレジットカード会社が年収以上に勤務先や勤続年数を重視する理由がお分かりになると思います。
個人事業主、自営業、フリーランスは審査に通りにくい
いずれも年収が想定しにくく、収入に対する経費の割合もクレジットカード会社からは見え難いです。こうした職業の方は残念ながらサラリーマンと比較するとどうしてもクレジットカードの審査に通りにくくなってしまいます。いくら売上2,000万円の自営業でも経費が1,600万円かかってたら実質年収400万円ですしね。こういう場合、個人事業主や自営業者向けのクレジットカードを申し込む方が審査を通過する可能性は上がるでしょう。
自分は収入が低いんだけど、どうすればクレジットカードを作れるの?
収入に自信がなかろうが、可能な限り正確な数字を収入として申告しましょう。「低年収はお断りだ」というクレジットカード会社など今どき殆どありません。
- 継続した収入があること
- きちんと毎月返済してくれること
この二つが満たせていれば、限度額100万円以下で発行してもらえるクレジットカードはいくらでもあります。代表的な例を以下に挙げておきます。
- 楽天カード
- 三井住友VISAクラシックカード
- セゾン パール・アメリカン・ エキスプレス・カード
- Yahoo! JAPANカード
- ライフカード
- JCB CARD R
- ANAアメリカン・エキスプレス®・カード
また、こうしたエントリーレベルのクレジットカードを使い込んでいくことで、あなたのクレヒスが積み重ねられていくことにもなります。ゴールドカードやそれ以上の上位カードを取得したいと思ったとき、クレヒスの積み重ねは年収以上に効いてきます。少しずつ欲張らずに一歩一歩積み重ねていくことが大事です。
以上、今回はクレジットカード申込み時に記入する、「年収」がカード会社からどの様に扱われるか、でした。