クレジットカード不正使用で世を騒がせたスマホ決済サービス、「PayPay (ペイペイ)」。流出していたクレジットカード番号+有効期限の情報があればセキュリティコードを総当たりで解析可能という設計上の欠陥 (現在は修正済) が問題視され、非難を浴びています。
PayPay (ペイペイ) のクレカ不正使用問題(対応済み)の問題点と修正点のまとめ
('19/2/5追記) 第2弾キャンペーン開催が発表されました! 今回はクレジットカード不正使用の騒動の原 ...
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「やっぱりクレジットカードは怖い、持ちたくない」、「現金が一番ではないか?」といった議論も今更のように復活しており、キャッシュレス化を進めていた日本政府は冷や水を浴びせられた格好になりますね。
現金と比較した際のクレジットカードの優位性はゆるぎないものであるとワタクシは確信していますが、実際に不正使用されてしまったことに気が付かずにいると数十万円~百万円以上の被害が出る事例にも事欠きません。不正使用に遭ってクレジットカード会社やスマホ決済サービス側につれない対応をされてしまったら、「もうクレジットカードなんて使うの止めよう」と思ってしまう人もいるでしょう。長い目で見るととてももったいない事ですし、基本的にはカード会社側も会員には退会して欲しくないのです。そのためクレジットカード会社も、不正使用を防ぐ仕組みやクレジットカード会員が一方的に支払い義務を負わずに済むような仕組みを用意しています。今回はそういった不正使用の被害をすぐに発見し、被害を最小限に食い止められるクレジットカード各社の取り組みや仕組みについて紹介したいと思います。
本記事が皆様が安心してクレジットカードを使うための一助になれれば幸いです。
クレジットカード不正使用をすぐに知るためのカード会社側の仕組み
カード利用があったらすぐにメールでお知らせ
楽天カードが取り入れている仕組みです。楽天カードはともすると「誰でも入れる」、「いい加減」などと叩かれやすい事もありますが実は全くそんなことはありません。むしろ他のクレジットカード会社と比較しても、クレジットカード会員の利用状況には目を光らせている部類のクレジットカード会社です。
【速報版】カード利用お知らせメール
楽天カードを利用してクレジット決済が行われると、加盟店から利用登録情報が上がってくる前に楽天カードが自発的にカード会員に「あなたの楽天カードで〇〇円の決済がありましたよ」という情報を登録メールアドレス宛に伝えてくれます。
カード利用から一日でお知らせが届くため、身に覚えのない金額の決済などがあればまずこれで発見可能です (500円未満の決済については本メールによる通知対象外)。
以下の画像は2018/8/18に利用した578円の決済を8/19にお知らせしてくれた内容です。前日にピザーラでピザを注文した際に2,000ポイントを楽天スーパーポイントで支払い、端数を楽天カードで支払った分でした。
カード利用お知らせメール (確報)
クレジットカード会員が加盟店で利用した決済情報が、加盟店から楽天カードに上がってきたタイミングで確報のメールが届きます。先ほどの速報メールと比較して、加盟店が「ピザーラ」であることが記載されていたり、支払い回数や支払い月、この決済で獲得する楽天ポイント数が記載されている点が異なります。
「リボ払いに変更可能だよ!」というチェックが全明細に付いて来るのがちょっと鬱陶しいですが、年会費無料の楽天カードでここまでやってくれてるんだから目を瞑りましょう。
こうしたカード利用毎のお知らせメール配信システムは楽天カードが特許を取っており、他社が簡単にマネできないようになっています。ロイヤリティを徴収して他社にも開放していただきたいものです。
この他に、もちろん毎月の利用額の確定額お知らせメールや、お支払い期限に関するお知らせメール、毎月獲得した楽天スーパーポイントのお知らせメールを送ってくれます。
これらのサービスはカードのグレードを問わず全券種で提供されています。つまり年会費無料の楽天カードも、年会費有料の楽天プレミアムカードや楽天ブラックカードと同等の高いセキュリティレベルのサービスが受けられるという事になります。
ここまでのサービスを年会費無料の楽天カードで提供してくれて、ポイント還元率も常時1.00%以上です。楽天カードが急成長を遂げた背景のひとつではないでしょうか。
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定期的に現在の利用金額をメールでお知らせ
アメックス (アメリカン・エキスプレス) が取り入れている仕組みです。
アメックスでは会員が登録しているメールアドレスに対して、一週間ごとに当月の利用総額を知らせるメールを送信してくれます。このため、定期的に利用金額を把握することができ、不正使用があった場合にも気付きやすくなっています。
上は当方のSPGアメックスカードの利用金額をお知らせしてくれているメールの一部掲載です。この一週間は特にSPGアメックスカードを持ち歩いていなかったこともあり、全く利用していませんでした。そのため利用金額にも変動がありませんが、もしあった場合は急いで明細をチェックして不正使用がなかったか確認するアクションを取れるというわけです。
スタンダードカードである、アメックスのグリーンカードや提携カードであるANAアメックス、SPGアメックス含め全券種で提供されているサービスです。平時はしょっちゅうくるメールが鬱陶しく感じられることもありますが、有事の際にはとても頼もしいサービスです!
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普段と違う決済は通さない・通しても会員にすぐ電話で警告
DCカード (三菱UFJニコス) やアメックスをはじめ各社が取り入れている仕組みです。当方は実際に不正使用被害に遭いかけた際に、DCカード側の対応のおかげで一切支払いせずに済みました。
不正使用犯が抜け穴を探すことを警戒しているためか、詳細までは教えてもらえませんでしたが、普段からの利用の傾向を見て、「この決済は本会員によるものではない」とシステムが判断した決済についてはオーソリを通さずに即座にクレジットカード会員へアラートが上がります。
当方の推測ではありますが、以下の様な属性を見ているんじゃないでしょうか。
- 居住地
- 直近の決済場所
- 普段の決済が上がってくる加盟店名称・属性
- 日常的な決済金額
例えば、大阪に住んでいる、大阪の企業に勤務している人が30分前に大阪市内で決済しているのに突然名古屋で決済があったら不正を疑う、といった具合です。
また、普段まったく利用しない類の加盟店で唐突に複数回の決済があったりすると鵜方割れるかもしれません。
この辺り特にアメックスはガチガチにチェックしているみたいです。「高額の買い物をする前には一言カードデスクに電話して欲しい」と言っているのも恐らくカード会員本人による高額なお買物時に、不正と誤検知して決済を止めてしまう様なことを防ぐためでしょう。
クレジットカード不正使用に対する各社の補償
この章ではクレジットカード会社各社の、不正使用に対する補償の比較を行ってみたいと思います。不正使用されてしまった分を何日前まで遡って補償してくれるのか、そもそも不正使用に対する補償サービス自体があるのか、といった内容です。
クレジットカード各社の不正利用補償比較 (2018年12月現在)
発行カード会社 | 補償金額 | 補償日数 | オンライン不正使用補償 |
---|---|---|---|
楽天カード | 全額 | 届出から60日前まで | 〇 ネット不正あんしん制度 |
アメリカン・エキスプレス | 全額 | 届出を当社が受け取った日から遡って60日目以降 | 〇 オンライン・プロテクション |
JCB | 全額 | JCBにお届けいただいた日から60日前 | 〇 JCBでe安心制度 |
三井住友カード | 全額 | 紛失・盗難の届け出日の60日前から | 〇 VpassID安心サービス |
三菱UFJニコス | 全額 | 「ご利用明細書」を送付(またはインターネットによる通知)後60日以内 | 〇 不正利用の補償 (特にサービス名を設けていない模様・・・) |
ライフカード | 全額 | ライフカードにお届けいただいた日から60日前 | 〇 利用規定に明記はありませんが、オンラインショッピング被害に対する補償実績あり。「紛失・盗難・詐取・横領・偽造」への補償は明記アリ。 |
dカード | 全額 | 紛失・盗難の届け出日の90日前 | 〇 特にサービス名はなく、「会員保障制度」と規約内で呼ばれています。 |
クレディセゾン | 全額 | クレディセゾンにご連絡をいただいた日を含めて、61日前まで | 〇 セゾンオンライン・プロテクション |
オリコ | 全額 | お届けいただいた60日前 | 〇 利用規定に明記はありませんが、「紛失・盗難・詐取・横領による不正な取引・カード番号や暗証番号の不正取得による不正な取引」を際に保証するとあります。 |
主要なクレジットカード各社の対応を比較してみましたが、この中ではdカードが頭一つ抜けた補償内容となっています。加盟店がカード会社へ請求をあげるまでひと月以上かかる場合もありますので、90日間の補償が付いているdカードは安心の一言です。他社もこれに追随して欲しいものです。
豆知識 : ショッピング保険と盗難・紛失補償の違い
よくクレジットカードに、「ショッピング保険」なる保険が付帯していますが、これはクレジットカードの不正使用による被害を補償してくれるものではありません。
要注意!
- 紛失・盗難保険 : クレジットカードを紛失して不正利用された金額を補償
- ショッピング保険 : クレジットカードで購入した商品が破損した場合の商品に対する補償
おわりに
今回はクレジットカード不正使用で世を騒がせたPayPayの件を受けて、クレジットカード会社各社が行っている、不正使用をすぐに把握するための仕組み、不正使用を事前に防ぐための仕組み、不正使用されてしまった場合の補償対応状況について紹介しました。
PayPayを踏み台にした不正使用の件を聞いて、クレジットカードを沢山持っている方など、死蔵しているカードが多いがためにヒヤリとして利用明細を確認された方も多いでしょう。本記事が皆様が安心してクレジットカードを使うための一助になれば幸いです。
今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。良いクレジットカードライフを!