今回はゴールドカード以上のランクのクレジットカードと当日航空券の提示で入れる空港ラウンジ、「カードラウンジ」と、「プライオリティパスの提示が必要なラウンジ」の違いについてお話したいと思います。
昨今は年会費2,000円前後のいわゆる格安ゴールドカードも登場し、「空港ラウンジ利用可能」というゴールドカードの持つステータスを安価に入手可能になってきました。たまに勘違いされることがあるのですが、日本国内発行のクレジットカードの提示で入れるラウンジは全体の一部でしかなく、提供されるサービスや使い心地もPPラウンジの類に比べると一歩も二歩も劣る場合があります。
比較的高額な年会費を支払ってまでプライオリティパスを持つ価値があるのか?という点についても、「カードラウンジ」との違いを踏まえつつ説明したいと思います。
そもそも、空港ラウンジとは何か
空港でチェックインした後、搭乗予定の飛行機の乗るまでの時間を持て余すことが多いので、その間の休憩や暇つぶしのスペース、とでも言えば良いでしょうか。国内線ならともかくとして、国際線では時に空港でチェックインしてから搭乗まで数時間といった結構な待ち時間が発生することがあります。トランジットのときに特に多いですよね、こういうの。
時間を潰すとは言え、ずっと同じ喫茶店やレストランにいるわけにもいかず、空港内のベンチで寝るわけにもいかず。
こんな時にもうちょっとくつろいで過ごせる場所がラウンジです。フリードリンクやスマホ充電用の電源を提供してくれたり、軽食やシャワールームまで提供してくれたりと、サービスはラウンジごとに異なりますが、概ねこういった「くつろぎスペース」を提供してくれる場所だと思ってください。
ファーストクラスラウンジともなると、まるで高級ホテルのロビーみたいな空間で、好きなだけタダ酒飲んだり軽食を食べまくったりといった事も可能です。本来の目的を忘れてしまいそうですが…。
ラウンジによって異なりますが、提供されるサービスの一覧を挙げておきます。
- ソフトドリンク、お茶菓子など
- アルコール飲料
- 軽食
- TV、新聞、雑誌、機内誌など
- ソファ、仕事机などの広い個人空間
- 無線LAN (WiFi)、電話、FAXなどの通信設備
- コピー機、プリンタなどビジネス機器
- 発着状況案内
また一部のラウンジでは以下のサービスも提供される場合があります。
- シャワー、仮眠室、マッサージ
- スパ、ヘアサロン、サウナ、ジャグジー
- 旅客機までの電動カートでの送迎
- 軽食ではない正式な食事 (ファーストクラス客など一部限定)
何が違う?「カードラウンジ」、「プライオリティパスで入れるラウンジ」、「航空系ラウンジ」
実は空港のラウンジにもいくつか種類があります。プライオリティパスの有効性を知るためにも、まずはこの違いを押さえておきましょう。
クレジットカード会社や空港運営会社の運営する、「カードラウンジ」
日本国内の空港では空港運営会社やクレジットカード会社複数社が共同運営するラウンジがあります。これに加盟するクレジットカード会社のゴールドカードやプラチナカードを持っている方であれば、当日の搭乗券とクレジットカードを提示することでラウンジを利用できます。
つまり、ほぼ国内空港のみでしか使えない、ということです(例外はハワイと韓国・仁川)。
ここまで書いて理解の早い方はもうお分かりかもしれませんが、クレジットカードによって入れるラウンジと入れないラウンジがあります。
羽田空港国際線ターミナルのラウンジの例を挙げておきます。
SKY LOUNGE、SKY LOUNGE ANNEX
出国後エリア 4階の中央と北に位置するラウンジです。以下のクレジットカードブランドの対応グレード (大半はゴールドカード以上) を持っている方が利用可能です。
- VJAグループ
- JCB
- Diners Club International
- DC、UFJ、NICOS、MUFG
- UC、SAISON
- AMERICAN EXPRESS
- JACCS
- エポスカード
TIAT LOUNGE、TIAT LOUNGE ANNEX
出国後エリア4階中央と5階北に位置するラウンジです。こちらはチャイナ エアライン、ハワイアン航空、デルタ航空、ガルーダ・インドネシア航空、中国南方航空、上海吉祥航空、天津航空、海南航空の航空便へ搭乗予定の方向けのラウンジです。
以下のクレジットカードをブランドの対応グレード (大半はゴールドカード以上) を持っている方が利用可能です。
- TS CUBIC
- Porsche Card
- 三越伊勢丹グループ MICARD
- LUXURY CARD
- マンチェスターユナイテッドカード
- ボルシア・ドルトムントカード
TIAT LOUNGE利用のために提示しなければならないクレジットカードの内の一部のカードは、ポルシェのオーナーじゃないと申し込めなかったり、マニアック過ぎて誰も知らなさそうなカードです。また、LUXURY CARDは以前よりかなり知られてきましたが年会費が他種カードと比べてかなり高めです。一言で言えば、TIAT LOUNGEはSKY LOUNGEよりかなりハードルが高いです。
この様に、ただゴールドカードだから、プラチナカードだからという理由ですべてのカードラウンジに入れるわけではありません。ちゃんとラウンジと提携しているカード会社発行のクレジットカードでないとラウンジに入れてもらえないのです。
また、提供されるサービスもソフトドリンク、WiFi、電源席、軽食、TV・新聞ていどといった事が多いです。
プライオリティパス社が運営する、「ビジネスラウンジ」
プライオリティパスは世界140か国、500都市、1200か所以上のラウンジ・ネットワークを持つプライオリティパス社が運営する世界最大規模の空港ラウンジサービスです。
※ 2018年6月現在
ビジネスクラスやファーストクラスといった上級クラスの乗客だけが専用ラウンジで過ごせるのはいかがなものか、という疑問からこのサービスが生まれたそうです。
25年前に混雑する空港ゲートで搭乗を待っていた弊社創業者は、プレミアム・クラスの乗客だけが専用のラウンジで待ち時間を過ごしているのを目にし「搭乗クラスに関係なく、手頃な会費で最高級の空港ラウンジを利用できないものか」と考えたことがきっかけとなりプライオリティ・パスが誕生しました。
引用元 : プライオリティパス公式サイト
URL : https://www.prioritypass.com/ja/our-story
ラウンジのサービス内容としてはピンキリといったところがあります。カードラウンジクラスのものもあれば、一部航空会社と提携しており航空系ラウンジに入れてもらえる空港もあるためです。VIPラウンジや航空系ラウンジにプライオリティパスで入れる際には利用しないと損ですね。
スポンサーリンク
プライオリティパスの利用料金は以下のとおりです。
会員種別 | 年会費 | ラウンジ利用料金 | 同伴者料金 |
スタンダード | 99USドル | 32USドル ('18/9~) | 32USドル ('18/9~) |
スタンダードプラス | 249USドル | 10回まで無料 (以降 32USドル ('18/9~)) ※ アメックス経由の場合、10/1より32USドル | 32USドル ('18/9~) |
プレステージ | 399USドル | 無料 (無制限) | 32USドル ('18/9~) |
- スタンダード … 99ドルの年会費 + ラウンジ利用の度に27ドル支払う必要あり。ライトユーザ向け。
- スタンダードプラス … 247ドルの年会費 + 10回までラウンジ利用無料 (それ以降27ドル)
- プレステージ … 399ドルの年会費、ラウンジ無制限利用可能
いずれもプライオリティパス会員本人向けの価格で、同伴者は27ドル請求されます。それも本会員のクレジットカードへ請求が行くので同僚や友人を差し置いて一人でラウンジに入るのが躊躇われる方も多いでしょう。
クレジットカードによってはプライオリティパス同伴者〇名まで無料、といった特典を付けて差別化しているカードもあります。以下はそういったクレジットカードの一例です。
- セディナプラチナカード … 同伴者1名無料
- 楽天ブラックカード … 同伴者2名無料
- アメックスセンチュリオン … 同伴者2名無料
- スルガVISA Infinite … 同伴者4名無料
航空会社の運営する、「航空系ラウンジ」
元々は航空会社がビジネスクラスやファーストクラス搭乗客向けに用意した「くつろぎスペース」です。これらの乗客以外だと航空会社の上級会員資格を持った方のみが利用可能となっている場合があります。
特に日本国内ではその傾向が強く、JALの運営するサクララウンジは基本的にJGC (JAL Global Club) 会員、JMB (JAL Milage Bank) 上級会員、もしくはビジネス・ファーストクラス搭乗客しか入れてくれません。
例) 羽田空港のサクララウンジ
眺めの良い席でのんびりできたり、
ビュッフェスタイルの食事が提供されたりします。
やはりプレミアムカスタマー向けサービスということもあり、提供されるサービスはカードラウンジとは比べ物にならないぐらいに充実しています。一度JALラウンジやANAラウンジを使うとカードラウンジには戻れない、と言われるのも分かりますね。問題は入れるようになるためのハードルがかなり高い点です。これをある程度プライオリティパスで解消できれば良いのですが。
プライオリティパスは果たして必要不可欠なものだろうか
日本国内で空港ラウンジ利用可能な年会費10,000円クラス以上のゴールド・プラチナカードを持っていると、主要空港の国内線・国際線カードラウンジの大半を利用できてしまうため、あまりプライオリティパスの恩恵を感じないかも知れません。海外旅行を殆どしませんよ、という方はプライオリティパスを無理に取得する必要性は高くはありません。
しかし、海外にいくと話は別です。
- プライオリティパスがあればラウンジに入れる
- 一部プライオリティパスと提携した航空系ラウンジを利用可能
言葉もあまり分からない中、空港の中で待ちぼうけすることもなくなります。年に数回は海外旅行に行く方、海外出張が頻繁にある方にとってはなくてはならないものでしょう。特に小さなお子様のいるご家庭で海外旅行に行かれる場合、持っていると安心です。
しかしプライオリティパスはメリットだらけというものではありません。実はデメリットもそれなりにあります。メリット、デメリットを比較して取得に値するものかどうか、今一度確認してみましょう。
プライオリティパスのメリット
ラウンジ使い放題
カードラウンジだとソフトドリンクに軽食程度が無料提供の範囲内ですが、PPラウンジは食事類も出してくれるところが多く、アルコールも飲み放題。旅の目的を忘れそうになります。また、シャワールームやソファなどくつろいで次の目的地へ行く前にリフレッシュさせてくれる設備がカードラウンジよりも多い。これも◎なポイントです。電源も確保しやすいです。
航空会社に関係なく航空系ラウンジも含めて利用可能
航空会社の上級会員であれば航空系ラウンジ (PPラウンジよりも更に充実) を当たり前に利用できますが、上級会員になるのは大変です。年に数十回と飛行機に乗ってやっとなれるもの。ANAのSFC修行やJALのJGC修行という言葉を見かけた方も多いかも知れません。とにかく意味もなく飛行機に乗りまくって上級会員になるための搭乗実績を作る事です。それを続けられるのは資金的にも時間的にも一握りの方でしょう。一般の方は頻繁な海外出張でいつの間にか上級会員のラインをクリアしていた、というパターンが大半だと思います。
また、上級会員資格を持っていても、その航空会社運営のラウンジに入るには最低でもスターアライアンスやワンワールドといった、提携先の航空便に搭乗しないと航空系ラウンジを使わせてもらえません。
ところが、プライオリティパスを持っていれば、これら航空系ラウンジがプライオリティパス提携ラウンジであれば利用させてもらえます。個人的にはこれが一番大きいメリットではないかと思います。どの便に乗ろうが関係ありません。LLC搭乗予定だろうが使えますよ。
例えば、成田空港のKALラウンジやIASSラウンジもプライオリティパスと当日の搭乗券さえあれば、そこの上級会員でなくても使えます。関空の「ぼてじゅう」も3,400円分まで無料で飲食可能です。
プライオリティパスのデメリット
同伴者は有料
同伴者は基本的に27USドル別途徴収されます。その場で徴収ではなく、プライオリティパスを提示した人の、プライオリティパスに紐づいたクレジットカードへの請求となります。その場の支払いが見えづらいので、後で何十ドルか請求が来ます。
プライオリティ同伴者が無料になるクレジットカードは、
- スルガVISA Infinite (4名)
- スルガVISAプラチナ (1名)
- アメックスセンチュリオン (2名)
- アメックスプラチナ (1名)
- 楽天ブラックカード (2名)
- JCB THE CLASS (1名)
- MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード (Recognized VIP) (1名)
- セディナプラチナカード (1名)
など、ごく限られたクレジットカードのみです。インビテーションによる入会必須のカードばかりでかなり敷居が高いと言えるでしょう。
混雑時は入場制限を食らう場合も
一部の空港ラウンジでは混雑度合いに応じてお客の入場制限を行いますが、真っ先に制限されやすいのがプライオリティパス会員です。会員のグレードを考えると仕方のない事かも知れません。ともかく現実として、提携の航空系ラウンジの場合、ファーストクラス、ビジネスクラス客を優先し、プライオリティパス客は後回しになることも多いです。
国際線ターミナルでプライオリティパスが活躍する空港
実は羽田空港にはカードラウンジと航空系ラウンジ (JAL、ANA、キャセイパシフィック)しかありません。東京都民、神奈川県民涙目です。
成田国際空港
- IASS Executive Lounge
- KAL Business Class Lounge
- T.E.I. Lounge (第一ターミナルのみ)
中部国際空港 (名古屋)
- KAL Lounge
- Star Alliance Lounge
- Centrair Global Lounge
関西国際空港 (大阪)
- KAL Business Class Lounge
- ぼて重
とりあえずの結論
個人的な結論ですが、
- 海外旅行によく行く方
- バックパッカーの方
- 海外出張によく行く方
これに該当する方は持っておいて損はありません。というか持っている方が良いでしょう。ANAやJALの上級会員だったとしても、毎回その会社の便や提携便に乗れるとは限りません。大急ぎの出張やトラブルによる遅延で待ち時間が長くなった時の事を考えると、選択肢を増やしておくに越したことはないからです。しかし399ドル(約41,000円!)も年会費を支払ってプレステージ会員になるぐらいなら、後述のプレステージ会員権利が付帯するクレジットカードを作ってみることをおススメします。
逆に、
- 海外旅行になんて殆どいかない
- 海外出張、何それ?
- 国内旅行大好き、新幹線大好き
こういう方にはかなり無用の長物に近いところがあります。特に羽田空港にはプライオリティパスが使えるラウンジがありませんし。首都圏民はこれだけでけっこう損している気が。
プライオリティパスをお得に使えて入手が比較的容易なクレジットカード
自分一人しかプライオリティパスも使わないという方はコチラ。年会費10,000円+税でプレステージ会員が付帯します。PPラウンジ同伴者料金は3,000円と僅かに高め。とにかくプレステージランクのプライオリティパスを安く手に入れたい方はこれで決まりです!
MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード
・国内主要空港ラウンジ/海外空港ラウンジ … ◎ (プライオリティパス、プレステージ付帯)
・家族カード1枚無料、家族カード分プライオリティパス1枚無料
・プラチナ・グルメセレクション、プラチナ・コンシェルジュサービスなどAMEXプラチナグレードサービス付帯
・海外旅行傷害保険自動付帯、国内旅行傷害保険(入院保険○)自動付帯、家族特約○
・グローバルPLUS、アニバーサリーポイントなどポイントアップのチャンス多数
・初年度ポイント1.5倍、海外利用ポイント2倍、デュアルスタイルでポイント1.5倍年会費 ポイント還元
マイル換算審査難易度 国際ブランド 20,000円
(税別) 0.40%~1.50% ★★★★++ 最短発行 利用限度額 サービス充実度 お得度 最短3営業日 50万~500万円 ★★★★+ ★★★★★+
家族カード分のプライオリティパスも無料発行可能な、家族旅行では無類の強さを誇るクレジットカード。審査もプラチナカードにしては緩めで、付帯保険も充実しています。年会費は20,000円と非常にリーズナブルで長く使える安心のカードです。個人的にイチオシのカードです。