かつては社会的ステータスの証でもあったゴールドカード。しかし年会費2,000円前後の格安ゴールドカードの登場で本格的にそのステータス感が薄れてきているのも事実。その一方で年会費10,000円以上を堅持して、充実した付帯特典やステータス感を維持しているクレジットカードがあるのもまた事実です。
同様にプラチナカードについても、年会費3,000円+消費税という激安年会費のクレジットカードの登場や、アメックスプラチナカードの自己申込み制度の採用によってそのステータス感が崩れてきていると感じる方も多いかもしれません。
今回は、そんなクレジットカードのステータスをどの様にして判断するべきか、という点について当サイトの考え方を筆者の独断と偏見を交えてお話したいと思います。
※ 本記事は特定のクレジットカードやその利用者の方を貶す目的で執筆したものではございません。予めご了承の上読み進めていただけますようお願い致します。
そもそもクレジットカードのステータスとは?
ステータスカードとは
そもそもステータスカードとは何か、というところから定義を明確にしておきましょう。
クレジットカードにはカードごとに「ステータス」、ここでは社会的地位や金銭面での裕福さ、を指し示す面があります。
医者・弁護士といった社会的地位が高いとされる人々や、一定の高い収入や資産のある人、毎年数百万円以上を高級店で使える人といった条件を入会条件として設定しているカードはステータスカードと言えるでしょう。
カードの色 (ゴールド、プラチナ) もステータスを示すと言えば示すのですが、カードの色だけを見て判断するのは最早不可能です。その理由については後述します。
ステータスカードは無くても困らない
初めの方で申し上げておきますが、いわゆるステータスカードの類は別に持っていなくても生活に支障の出るものではありません。
ステータスカード以外での支払いを拒むお店など日本国内にはありませんし、スタンダードカードで支払うと余計にお金を取られたりすることもありません。
ステータスカードの価値?
ただし年会費相応のベネフィット、例えばプライオリティパスや高級レストランの割引、ホテルの無料アップグレード、海外・国内旅行保険の自動付帯などはステータスカードに多く付帯する特典です。
由緒正しそうな金融機関の名前が書いてある金色や白銀のカードに、GOLDやPLATINUMといった刻印があるのは気持ちの良いものだと感じる方も多いでしょう。特に金属製のカードの特別感は別格です。
また、海外だとアメックスプロパーカードは一枚上の信頼感を見せつけてくれます。
こういった点に魅力や価値を感じる方はステータスカードとされるクレジットカードを一枚は持っておくと良いでしょう。
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ステータスカードのはじまり
ステータスカードの代名詞的な概念である「ゴールドカード」はアメックスが一番最初に発明しました。当初は一定水準を満たした、いわゆる富裕層向けのクレジットカードとして登場しています。
社会的に成功した人向けのハイステータスを売りにしており、アメックス日本上陸の際も、「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」がまず発行開始されています。
アメリカ市場でのゴールドカード戦略大成功を見て他社もアメックスをマネして類似ゴールドカードを発行し始めます。
その後、
( ゚Д゚)「ゴールドカードなんかよりもっと上のカード作ってよ」
雨「(*'ω'*)つ、プラチナ」
他社「うちもプラチナカード作る」
( ゚Д゚)「プラチナカードより上の(ry」
雨「(*'ω'*)つ、ブラックカード (センチュリオン)」
といった感じでステータスカードとされていたグレードのクレジットカードの入手が少しずつ容易になってきています。
イタチごっこの詳細やアメックスのブラックカードに興味のある方は以下の記事を読んでみて下さい。
[ブラックカード] アメリカン・エキスプレス・センチュリオン ~審査難易度、付帯サービスともに世界最高峰のブラックカード~
今回は「ブラックカード」の中でも世界で初めて発行され今でも世界最高レベルのブラックカードとされる、アメリカン・エキスプレ ...
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所有による「ステータス感」と他人から見る「社会的ステータス」はもちろん異なる
所有によるステータス感とは、「券面が金色で、ゴールドカードと書いてあり自分がいっぱしの成功者になった気がする」、「メタル製のクレジットカードで持っていて何だか偉くなった気がする」、「滅多にもらえないインビテーションが来てこのカードを発行できた」などといった所有による満足感から来るものと定義しておきます。
もちろん、金色のカードは持っていて気分の良いものである事が多いものです。しかし他者がそれをどう見るかはまた別の話です。
例えば、以下の二つを比べてどちらにより高いステータスを感じるでしょうか。
- 信販系のゴールドカード (年会費5,000円+税)
- メガバンク系列のゴールドカード (年会費10,000円+税)
十人いれば十人が後者であると感じるでしょう。どちらも同じゴールドカードですが、発行元や年会費と言った要素も、ステータスの一部として機能しているといって良いでしょう。
クレジットカードステータスの判断基準
「カードの色 = ステータス」はもう古い?
もう古いです。
というと話が終わってしまいますが、見た目のカード券面の色だけではクレジットカードのステータスを判断しづらくなっているのは事実です。
例えば上記はいずれもゴールドカードですが、年会費は約2,000円で、一般的な年会費10,000円以上のゴールドカードと比較すると付帯特典の面で大きく異なります。
ゴールドの券面で所有欲をちょっぴり満たしつつ、「たまにいく旅行で上手くクレジットカードの特典を活用できればいいな」、と考えている方たちには一定の支持を得ているカードでもあります。
また、「見た目でそれなりにきちんした感が出ればいい」、と考えている方などにはコストパフォーマンスと外見のバランスから特に MUFGカード ゴールド の受けが良いのも事実です。
カードの色だけではステータス判断できない一例として挙げておきます。
国際ブランドによる格付け + イシュア(カード発行会社)による格付け
クレジットカードには国際ブランド (VISA, Mastercard, JCB, アメックス, ダイナース) が各社で付与するグレードがあります。
大きく分けて、スタンダード、ゴールド、プラチナ、ブラックといった分類が行われています。それぞれのグレードに応じた特典が国際ブランドから提供されるのが一般的であり、大抵はクレジットカード券面もグレードに応じたカラーになります。
これとは別に、イシュアが「ゴールドカード」や「ブラックカード」を名乗ることがあります。この場合必ずしも国際ブランド側の特典が全て付与されるとは限りません。国際ブランド側の特典の一部 + イシュア独自の特典を付与し、それに見合った年会費を徴収する点では他のカードと同じです。
- 楽天ゴールドカード
金色の券面に、通常のゴールドカードに付与される特典の一部のみ付与され、代わりに年会費を大幅に削減しています。 - 楽天ブラックカード
MastercardやJCBにおけるグレードはプラチナ、ただし取得難易度はかなり高く、楽天市場など楽天経済圏でのサービスレベルは最高クラスの一枚です。
発行クレジットカード会社や提携先で他者から見たステータスも変わる
発行カード会社でステータスは変わる
一般に、大手銀行または関連クレジットカード会社が発行するクレジットカードは「由緒正しいもの」とされます。
海外においてクレジットカードは銀行が発行するものであることや、クレジット以上にデビットカードの利用が多いこともあり、「カード類は銀行が発行するものである」という考えが根強い事が理由として考えられます。
本サイトでは、「銀行系クレジットカード会社」の定義を、「銀行、特に大手銀行やゆうちょ本体もしくは関連クレジットカード会社」としておきます。ネット銀行・地銀・信金・サラ金系は外します。
- SMBC CARD
- 三井住友VISAカード
- 三菱東京UFJ-VISA
- MUFGカード、DCカード
- みずほマイレージクラブカード
- JP BANKカード
代表的な銀行系カードとしてはこの辺りでしょうか。
また、設立の背景や会社の堅さを考慮し、JCB本体の発行するクレジットカードも銀行系カードと言って良いのかも知れません。
カード会社を系列に分けてざっくりランキングしてみます。
- 銀行系 > 地銀・信金・その他銀行・外資系 > 交通系 > 信販系 = 流通系 > 消費者金融系
それぞれの系統のカード会社をいくつか挙げておきます。
- 銀行系 … 三井住友カード、三菱UFJニコス
- 地銀・信金 … 多くはJCBフランチャイズもしくはDCカードフランチャイズ
- その他銀行 … SBIカード等
- 外資系 … アメックス、ダイナース
- 交通系 … ビューカード
- 信販系 … オリコ、エポス、ライフ
- 流通系 … イオン、楽天カード
- 消費者金融系 … アコム
この分類も多分に主観的ではありますし疑問が多少残ります。
例えば親会社にアイフルを持つライフカードが本当に信販系で正しいのか、「日本信販」を買収した三菱UFJニコス発行のNICOSブランドカードを銀行系と呼んでいいのか、等です。
カード会社を含めた金融機関の吸収・合併が多かったこと、かつて銀行法の制約により銀行本体がクレジットカードを発行できなかったこと、他社提携のキャラクターものカードの多さなどを考慮すると、クレジットカード発行会社に加えてカードのシリーズごとにステータスを判定するのが本来のあり方なのかも知れません。
いくら三井住友カード発行でもアイドルマスターカードと三井住友VISAクラシックを同じステータスにするのも乱暴な話です・・・。
提携先でもクレジットカードの格差がある
クレジットカード発行権を持たない一般企業がカード会社と組んで発行する、いわゆる提携カードにも、提携先によって大きく見栄えが変わってきます。
提携先に関する例を挙げておきましょう。
- ヒルトンHオナーズVISAカード
- リーガロイヤルVISAカード
- ルートインホテルズPonta VISAカード
これら三種のカードはいずれも国内外のホテルと提携して、三井住友カードから発行されているクレジットカードです。
しかしホテルのグレードを見ると明らかに、ヒルトン > リーガロイヤル > ルートイン、であるのは間違いありませんよね。
提携先ホテルのグレードを察してか、ヒルトン提携カードはスタンダード、ゴールド、プラチナカードをラインナップに入れており、リーガロイヤルホテル提携カードはスタンダードカードとゴールドカードがラインナップに入っています。ヒルトンやリーガロイヤルといったそれなりの格の高いホテルで使うとよりお得であるという特典に価値を見出し、年会費を払ってくれそうな経済力のある客層がターゲットであると想定できます。
これに対してルートインホテルズPonta VISAカードはスタンダードカードのみです。わざわざPontaカード機能がある点まで強調しているところからも、クレジットカードに年会費を払いたくない客層をターゲットにしていることが分かります。
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同様に、LLC提携クレジットカードと、ANAカードやJALカードを比較した際に、どちらにより高い信頼感やブランド力を感じるでしょうか。多くの場合は後者であると思います。
こうした提携先も、カード発行会社がたとえ同じであろうがクレジットカードに厳然たる格の差を与え、ステータスの差を持たせる要素であると言えるでしょう。
かつてGOETHEの作成したダイナースクラブのPR記事で、「通販サイトのカード」、「交通系ICの付いたカメラ屋のカード」などと庶民向けクレジットカードをバカにする記述がみられましたが、ステータスという意味ではあながち間違いではないです。流石にクレジットカード会社のPR記事でそれをやるのはまずいと思いますけどね・・・。
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提携先としてステータス感の高い企業としては、以下に当てはまる企業が挙げられます。
- 大手銀行、地銀・信金、高級ホテル、大手航空会社
やはり知名度の高さや会社の規模、品格などが大きく影響します。
プラスチックカードとメタルカード
人によってはステータスを感じてしまうのが物理的なカードの素材の差です。例えば、アメックスセンチュリオンはチタン製のメタルカードを発行していますし、LUXURY CARDは最上級のものだと24金 (純金) 仕上げのメタルカードを発行しています。アメックスプラチナも日本国内で昨年からメタルカード発行に踏み切りました。
他カードと差を付けて会員の所有欲を満たすための仕掛けなのですが、こうした「特別なカード」にステータスが感じられることもあります。
国際ブランドによる判断も時には必要
各国際ブランドのブランディングの傾向について。
ご存知の方も多いと思いますが、マスターカードの上級カードの庶民化が目立ちます。
支払える年会費 = 会員の金銭的余裕や社会的な階級
例えば、年会費20,000円のプラチナカードと、年会費50,000円のプラチナカードであれば後者により高いステータスが感じられるでしょう。
年会費が高いカードであるほど維持するための負担も重くなります。入会審査難易度がそこまで高くないと言われるアメックスですが、年会費を払い続けるのは大変です。年会費130,000円+消費税のアメックスプラチナを10年維持するだけで140万円を超えてしまいます。そういった意味で、”Member Since” は一つの指標として機能してくれそうです。
スタンダードカードで比較しても、年会費12,000円+消費税のアメックスグリーンと、年会費がほとんどかからないヤマダ電機の提携アメックスとではステータス感に天と地の差がありますよね。
自分の買い物や旅行代金の支払いに使えない、捨て金ともいえる年会費にいくらまでだったら出せるか、という限度が金銭的な余裕を示すことになります。それが自ずと社会的なステータスを指し示すことにもなります。
特定の職業・学歴の方のみ入手可能なカード
弁護士や医師などの方向けのカードや、東京大学や慶応、早稲田といった大学が在学生・卒業生向けに発行してくれるカードはそれだけでホルダのステータスを示します。
入会審査の難易度
よく知られているのが、アメックスセンチュリオンの他のブラックカードを寄せ付けない審査難易度です。毎月最低でも数百万円以上を決済し、会員の社会的な地位なども考慮してごく限られた人にのみインビテーションが送られてくるという最高峰のブラックカードです。まさにアメックスセンチュリオンを持つことが、社会的な成功者 = 入ステータスであることを示しています。
LUXURY CARD (ラグジュアリーカード) のGOLD CARDもカードホルダの平均年収は数千万円クラスとも言われており、GOLD CARD持ち = 富裕層 = ハイステータス、として一部に知られています。
こうした超難易度のカードと比較すると、自己申込み可能なプラチナカードのステータス感はやはり一歩も二歩も低いと言わざるを得ません。
結論 : ステータスカードを一目で見抜ける人は少ない
ステータスカードとしての知名度が大事
早く言え!と言われそうですが、そもそもステータスカードとして知られていないと他人から見たステータスもクソもありません。
アメックスセンチュリオン、アメックスプラチナ、ダイナースプレミアムなどはその年会費の高さや審査難易度から、ステータスカードとしてよく知られています。
しかし、三井住友トラストカードVISAプラチナ、実は入会条件が30歳以上かつ年収1000万円以上とかなりハードルが高く、持っているだけで確実に高収入なのが分かるのですが、それをカードの見た目で分かる人などクレジットカードオタクの人だけです。
同様に、MUFGカードプラチナアメックスの"Recognized VIP"。これも三菱UFJ銀行の各支店で数名程度にしかインビテーションが送られないと言われており、かなり入手難易度が高いのですが、全くと言っていいほど知られていません。
その辺りイシュアのマーケティングの力の入れ具合なのですが、残念なことに国内カード会社はアメックスやダイナースの様なステータスカードとしての宣伝に力を入れている様には見えません。
ステータスカードと一目で見抜ける人は少ない → パっと見の印象が大事
これまで述べてきたことと逆のことを言う様でアレなのですが、本当の意味でのステータスカードを判定する基準である、クレジットカードのイシュア (発行カード会社) や提携先、国際ブランドごとのブランディングの方針などは分かる人には分かりますが、分からない人がほとんどであると思われます。
そうなると、結局のところ第一印象で決まってしまうことになるケースが多いです。
これらの格安ゴールドカードはこうした矛盾点を上手く付いた、生まれるべくして生まれてきた見た目重視のカードであるとも言えるでしょう。
これを最初に考えた三菱UFJニコスの企画担当者の方の慧眼は素晴らしいですね。
まとめ
まとめます。
- クレジットカードの券面のカラーだけではステータスの判断は難しい
- 見た目でステータスカードかどうかを分かる人など殆どいない
- 他人からのステータスカード判定は、カードの知名度、カードの外見の比重大
実際にステータスカードであるかどうかは以下の基準で判定するべきですが、ほとんどの人はあまり関心が無さそう、というかクレジットカードマニア以外関心がないだろうと思われます。
- クレジットカード発行会社 (イシュア)
- 提携カードの提携先
- 国際ブランド
- 年会費
- 入会審査の難易度
- ステータスカードとしての知名度
- 特定の職業・学歴の方向けのカードであること
言うまでもなく自己満足のレベルですね・・・。結局のところ身の丈に合っており必要な特典の付帯したクレジットカードをいくつか持っておくのが良さそうという事に。
部下の方や気になる女性に見せびらかしたい方は、相手がクレジットカードヲタクでないなら アメリカン・エキスプレス・ゴールドカード などを持っておけばもう十分じゃないでしょうか。
おわりに
今回は、いわゆるステータスカードの判断基準について、昨今のクレジットカード業界の動きを踏まえて当サイトの考えを書きました。
格安ゴールドカードや激安プラチナカードの登場もあり、今後ますますステータスカードというものの判断が難しくなりそうです。
ステータスカードとは?クレジットカードのステータスや格付けの判断基準
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今回も最後まで読み進めて下さりありがとうございました。